安倍政権を滅ぼす時限爆弾になりそうな「森友学園問題」の深い闇

 

しかし、これはまだ序の口だった。近畿財務局は2015年5月に森友学園と定期借地契約を締結したが、翌2016年6月には森友学園が、土地を買い取ると言い出したのだ。しかもその購入価格は1億3,400万円で年利1%10回の分割払いという破格の条件である。

近畿財務局が不動産鑑定士に依頼して算出した土地の評価額は9億5,300万円だったのだ。8億1,900万円もの値引きになる。ありえないことだ。

地下に埋まっていた廃材や生活ごみの撤去にかかる費用を計算し、瑕疵のない状態で引き渡すため、その分を値引きして売却をしたと政府は言うのだが、少なくとも常識的ではない

出てきた廃材や生活ゴミは学校建設の支障になるようなものではなかった。地下9.9メートルの支持層まで杭を打ち込むのに邪魔になるほどの地下埋設物はなかった。そのことは2月28日の参院予算委員会における小川敏夫議員への政府答弁で確認されている。

財務省や国交省の担当官僚は国会で質問をはぐらかし紙に書いた同じ答弁を繰り返す。近畿財務局や大阪航空局の役人は民進党議員に問い詰められて口ごもるばかり。肝心な何かを組織的に隠しているとしか思えない。

いかにも、国が土地の価格を提示し、森友学園が「それなら買いたい」と定借から購入に切り換えたように装ってはいるが、国が進んでそこまで大サービスをすると思う人はいないだろう。

森友学園側がかなり強引な態度で国に好条件の提示を求め続けていたと考えるのが普通ではないか。定借の契約をし、小学校の建設工事にとりかかったら、廃材や生活ゴミが出てきたのを、これ幸いに、さまざまな圧力をかけて土地の大幅値引きを要求したということではないのだろうか。

こうした場合、通常なら国は木で鼻をくくった対応をするだろう。ところが、地下のゴミが出てきたと知らせをうけるや、大阪航空局と近畿財務局の担当者がそろって現場に出向き、学園側の示したゴミを見て、いともたやすく8億1,900万円というほとんど根拠のないゴミ撤去費用を算出し、大特価セールをやってしまったのだ。

専門家に鑑定させることもなく、大阪航空局と近畿財務局の話し合いで売却価格を決めてしまう。そして、森友学園との交渉過程の記録はすでに破棄しているとして、公開要求を突っぱねる。

しかもこうした経緯や売却額を国有財産近畿地方審議会のメンバーには報告をしていない。同審議会は時価での売却ということで了解したが、これほどの大幅な値引きは想定していなかっただろう。

どうして、一般市民に対しては融通の利きそうもない役所が、そんな対応をしたのか。多くの人がうすうす感じていることだろうが、実は、しかるべき筋あるいは面倒な輩から圧力がかかれば役所ほど融通の利く組織も少ないのだ。

では森友学園側は、たとえば政治家を動かすなどして国側に圧力をかけたのだろうか。たしかに自民党大阪府連には籠池氏の活動する日本会議に所属している国会議員も何人かいる。共産党の小池議員は国会議員の事務所から籠池氏の再三にわたる来訪を記録したメモを入手し、その生々しい内容を3月1日の参院予算委員会で暴露した。

だが今のところ確たる証拠といえるものはなく、国会議員の関与については、なんとも言えない。現時点でわかっていることは、安倍晋三夫人、すなわちこの国のファーストレディーが新設小の名誉校長であったという事実だ。

当然のことながら、籠池氏は役所に説明するのに、安倍首相夫妻との蜜月を宣伝しまくるだろう。そして、夫人が2015年9月に塚本幼稚園で講演し次のように語ったことを、場合によっては録画も見せながら強調したのではないだろうか。

こちらの教育方針は、主人も素晴らしいと思っていて、先生からは、安倍晋三記念小学校という名前にしたいと、言っていただいていたんですけど…もし名前をつけていただくなら、総理大臣を辞めてからにしていただきたいということでした。

安倍夫妻の名が水戸黄門の印籠のような威力を発揮していたとしたら、それにひれ伏した役人たちが、このやっかいな案件のケリを一刻も早くつけたいがため過剰に反応したと考えられなくもない。

安倍首相自身が「その方はそう簡単に引き下がらない方だった」と言うように、籠池氏のキャラクターはかなり特異なようである。安倍夫妻との関係を持ち出して強く押せば、事なかれ主義の役人は案外、御しやすかったかもしれない。

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