週刊新潮2月23日号に籠池氏の次男、籠池照明氏のコメントが掲載されている。
父は、自分と異なる意見には耳を傾けず、気に入らない人はすぐに切り捨てようとする。だから、園児の保護者から反発を食らうことも少なくないのですが、実の子に対しても同じです。
僕は18歳から23歳まで、幼稚園のラグビースクールの講師をしていましたが、父とソリが合わなくなって辞め、以来5年間、口を利いていない。
長男も籠池氏のもとには寄りつかず、三男は21歳の時に首吊り自殺したという。
思い込みが激しく他人の意見を聞こうとしない人が、子どもの教育にたずさわると、塚本幼稚園で起きているような父母とのトラブルが起こりやすい。
2月22日、民進党の玉木雄一郎議員は衆院予算委員会第4分科会で、退園した子の親から聞いた話として、次のように語った。
食事中は、お茶を飲むことが禁止されている。旧海軍がそうしていたからだそうです。2歳の子でもおむつが禁止です。おもらしをすると、謝らないと、替えのパンツをもらえないそうです。
籠池氏の妻であり塚本幼稚園副園長でもある籠池諄子氏は保護者あての便りに、「邪な考えをもった(名前は日本人なのですが)在日韓国人である・支那人である…」と書き、強烈な差別意識を惜しげもなく世間にさらしている。
また、塚本幼稚園は、運動会で行われた選手宣誓で園児たちに「安倍総理ガンバレ」と言わせている。これが「学校は政治的活動をしてはならない」という教育基本法第14条に違反するのは明らかである。
さて、4月の開校予定が迫るなか、まだ設置認可がおりていない森友学園の新設小学校はどうなるのか。焦点は近く開かれる大阪府私立学校審議会がどのような結論を出すかだ。
これまでの審議でいくつもの懸念の声が委員から出ている。財務体質が脆弱であることや、カリキュラムや教育内容についての問題点、運営が安定的にできるかどうかの疑問など、検討すべき点は数多い。
安倍首相は第一次政権で教育基本法を改正し、伝統の継承、道徳心、愛国心の育成などを新たに付け加えたが、個人の価値の尊重という教育目標も継承している。
だが、安倍首相の教育思想の眼目が、戦前的な道徳や愛国心の復活にあることは周知のとおりだ。籠池氏が安倍首相を「偉人」と礼賛し、その記念となるような小学校をつくりたいと切望するのは、それゆえであろう。
「教育勅語」を暗誦し、軍歌を合唱する塚本幼稚園。その卒園児たちの受け皿としての「瑞穂の國記念小學院」。「愛国」一貫教育をめざす森友学園の方針が、はたして教育基本法の精神に照らして許容できるものなのか。大阪府私立学校審議会には、行政への妥協のない冷静な議論を期待したい。
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