日本会議勢力との間にも隙間が
仮にトランプ政権が対中融和に動くと、困るのは安倍首相で、日米同盟強化で対中対決という「親米保守」寄りの戦略論的な枠組みが半壊状態に陥る。
そうすると安倍首相は、急速に「米国など頼るに足らず」という気分になって、「反米愛国」に傾いていくかもしれない。その先に待ち受けているのは「日本会議」系を中心とする右翼勢力であるけれども、これがまた二重三重に安倍政権の存続と矛盾する。
1つには天皇の「譲位」問題で、この議論を通じて日本会議系右翼の知的レベルの低さは広く知られるところとなってしまった。結局、この連中は、明治憲法下での軍事強国路線に相応しい大元帥としての天皇に憧れているだけの復古趣味集団にすぎないことが明らかになった。
もう1つは、大阪の森友学園事件で、その解明はまだこれからであるけれども、日本会議を通じて安倍の周りに集まっている「愛国」的勢力のその愛国心とは、詰まるところ国有財産を掠め取ることでしかないことが明らかになった。
そのため、安倍首相の側近や取り巻きの記者たちの間では「日本会議も困ったものだ」と、同会議との間に距離を置こうとする考えが強まっており、反面、日本会議側では安倍不信が頭をもたげているという。
こうして、「親米保守」と「反米愛国」という2つの下駄の両方とも歯が欠けたようになって、歩きにくくなっているのが安倍首相であり、来年9月の「3選」に辿り着けるかどうかは確かではない。
image by: 自由民主党