やっぱりiQOSも規制対象に。加熱式タバコ人気に水を差す法改正

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従来の紙巻きタバコに代わり、電気加熱式タバコが愛煙家の注目を集めています。その代名詞とも言えるフィリップモリスジャパンの「iQOS」は2015年の発売以来、未だ品薄状態という人気ぶりを見せるなど、久々のヒット商品の登場に沸く業界ですが、ここに来て飲食店での全面禁煙の導入を図る、いわゆる「受動喫煙防止法」の規制対象に加熱式タバコも加わることとなり、頭を抱える事態となってしまいました。タバコ業界はこの先、打開策を見出すことができるのでしょうか。無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんが今後を占います。

過熱する電気加熱式タバコの人気

社会的な禁煙、嫌煙の流れや健康志向の高まりを受けて、健康に害を及ぼす煙を発生しない電気加熱式タバコの人気が過熱しています。

火をつけたのはフィリップモリスジャパン(PMJ)のiQOS(アイコス)。

2015年9月に発売された新商品ですが、現在までの累計販売台数はすでに300万台を突破するほどの人気振りで、まだまだ品薄の状態が解消できずに、全国の販売店ではいまだにiQOSを求める長蛇の列が続いています。

このようなタバコ業界において近年稀に見る爆発的なヒットを目の当たりにして、ライバル企業が指をくわえて見過ごすわけがありません。特に電気加熱式タバコは、タバコを加熱するための本体をまずは購入する必要があり、初期費用として4,000円から1万円程かかります。その後、400円程の専用タバコを交換していく仕組みのため、ひとたび購入されれば他社の商品が入り込む余地のないプラットフォーム型のビジネスになっています。つまり、いかにいち早く自社のプラットフォームに多くの顧客を取り込むかでビジネスの成否が大きく左右されることになるのです。

そこで、日本のタバコ市場で圧倒的なシェアを誇るJTは、2016年3月に福岡市の一部販売店とオンラインショップで、iQOSの対抗商品となる「プルーム・テック」を発売。JTは、特に福岡の飲食店などの施設でブルーム・テックの利用を促進する営業に力を入れ、プルーム・テックのみが使用できる施設が50か所以上に上るなど、後発組として巻き返しを狙っています。

また、ラッキーストライクで馴染みの深い世界シェア2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)も2016年12月に仙台市限定で電気加熱式タバコ「glo(グロー)」のテスト販売を開始しました。BATも、スターターキットが通常価格で8,000円のところ、当初はおよそ半額の3,980円で提供するキャンペーンを実施するなど、積極的に顧客の取り込みを図ります。

迎え撃つPMJは、現在旺盛な需要に生産が追い付かない状況を解消すべく、増産態勢を強化。加えて3月3日には、充電機能の強化や本体の強度を高めた第2世代機iQOS 2.4 Plusを投入し、強力なライバル2社が本格的に電気加熱式タバコの市場に参入する前に少しでもシェアを高めること全力を注ぎます。PMJは先行企業として、今後予想される「電気加熱式タバコ戦争」の幕開けに対して備えは万全といっても過言ではないでしょう。

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