その差は1秒
【読売】は1面トップと3面の関連記事。見出しから。
1面
- 残業「月100時間未満」で決着
- 繁忙期上限 首相、労使に要請
3面
- 政治決断 連合に配慮
- 残業規制決着
- 法案早期提出へ労使合意促す
- 「除外業種」「隠れ残業」課題に
- 過労死遺族は反発も
uttiiの眼
《読売》もまた、「月100時間未満」で決着したことについて首相のイニシアチブを強調する書き方になっている。
合意された「残業時間の上限規制」に関わる4条件と「インターバル制度」の普及促進に向けた措置については、《読売》の示し方は非常に分かりやすい。1面記事では、各条件が色分けされた矢印の柱に見立てられ、うまく図示されている。これを見ていると、「繁忙期の月100時間残業」というのもなるほど恐ろしいが、繁忙期であろうがなかろうが、今もこれからも「月45時間、年360時間」の残業が36協定締結によって原則として認められるという事実に驚愕する。安倍内閣の「働き方改革」の帰結として、自分の働き方はどう変わるのか、イメージしてみてはどうだろうか。
3面は「100時間未満」決着についての《読売》流解説。リードには「経団連と連合がともに組織内に不満を抱える中、安倍首相の『政治決断』で連合の顔を立てた形だ」と言っている。
「100時間未満」での決着の背景については、《朝日》の説明よりも、かなり多面的な描写になっている。まず、両者の違いは「100時間丁度が違反になるかどうか」だけの違いだというロジカルな解説。政府関係者は「実質1秒しか変わらない」と言ったという(うまい!)。それでも、象徴的な文言ということで両者は頑なだったのだが、それを総理の裁定で、しかも連合側に配慮する形で決着させたので、「民進党は関連法案に反対しづらく、国会審議はスムースに進むだろう」と見られているという。
残業規制自体の意味づけについても3面記事は説明が分かりやすい。現在、36協定を労使で結びさえすれば事実上青天井の残業が可能となるのに対し、新しい規制では、厚労相告示で決められている「月45時間、年360時間」を原則とし、さらに複数の制限が入ることになる。