サービス残業という方法
【東京】は1面トップと社会面31面に関連記事。合意の要旨を6面に載せる。見出しから。
1面
- 残業「月最大100時間」合意
- 繁忙期に例外 過労死認定レベル
- 休息時間確保 努力義務止まり
31面
- 100時間 なぜ認めるの
- 残業上限 労使合意
- 過労死遺族ら反発 「長時間労働にお墨付き」
- 45時間でもつらい/ギリギリの妥協点
- 現役社員ら不満と理解
uttiiの眼
非常にハッキリした問題の捉え方をしている《東京》。1面の記事で基本的なことを報じた後は、社会面で遺族の声、サラリーマンの声などを中心にして、「残業させる側」ではなく、「残業させられる側」、「働き手」の目線で記事を構成している。
繁忙期には、過労死レベルの100時間残業を強いられる労働者個人。そして、組合側が強く要望していた「休息時間確保」は努力義務に留まった。「働かされる側」、労働者側は2連敗という認識。
31面社会面は、電通の新入社員で過労自殺に追い込まれた高橋まつりさんのお母さんのコメント全文、さらに「全国過労死を考える家族の会」代表の「過労死をなくそうと言っているのに、過労死ラインに近い数字を認めるのは矛盾している」との批判。それとともに、「最長の残業時間を100時間より大幅に短くする企業も出てきている。流れが逆行しかねない」との心配も。さらに、日本労働弁護団の棗一郎弁護士は、月80~95時間の残業でも「使用者が安全配慮義務に違反している」と判断された例があるとして、使用者の安全配慮義務を免除するものではないと法律に書き込む必要があるとの貴重な指摘。もう1人、労働経済学の森永卓郎氏は、サービス残業の横行を指摘。労基署は取り締まりを強化しなければ、上限規制は効果が上がらないという。いずれも傾聴に値する話。
image by: 首相官邸