待機児童の裏に隠された、「巨大な保育利権」の深い闇

 

保育業界は左右の政党と深い結びつきを持っている

そもそも、なぜ保育業界は、このように政治から守られているのでしょうか?

その答えも、しごく簡単です。

保育業界は各政党の強力な支持母体となっているからなのです。

保育業界には、日本保育協会、全国私立保育園連盟、全国保育園協議会連盟という三つの業界団体があります。

この三つの団体は、厚生労働省の部会などにも参加しており、政治的に強い力を持っているのです。

このうち日本保育教会、全国保育協議会というのは、自民党の支持母体です。日本保育協議会は全国社会福祉協議会の下部組織であり、全国社会福祉協議会自体が自民党の支持母体なのです。

全国社会福祉協議会の会長には、元自民党の重鎮である斎藤十郎氏が就いています。また日本保育協会の関連団体の要職にも、自民党の議員が就いています。

つまりは、私立保育所業界というのは、自民党にベッタリなのです。

しかも、保育業界のたちの悪いところは、左翼系の政党との関係も深い事です。

公立の保育所は、左翼系の労働組合が入っており、その影響力が強いのです。東京の公立保育所は共産党の労働組合の影響下にあり、他の地方の公立保育所は、自治労(全日本自治団体労働組合)の影響下にあります。

公立の保育士たちは、非常に待遇がいいのです。普通の民間企業よりも、各段にいい給料をもらっています。

彼らはその境遇を守りたいがために、保育所の新規参入を嫌っているのです。保育所ができすぎて、将来、公立保育所がつぶれるようになると困るからです。

また自治体の中には、公立保育所を民間に委託しようという動きもありますが、公立保育士たちの組合の反対運動で、ことごとくつぶされているのです。もし、公立保育所を民間に委託できれば、予算の余裕ができて、保育所を増設できるにもかかわらずです。

私立保育園の経営者と、公立保育園の保育士は、利害が一致しているのです。

普通、自民党と左翼系の政党(共産党、社民党)などは、意見が対立することが多いものです。しかし、こと保育行政に限っては、両者はがっちりとタッグを組んで、保育業界の既得権益を守っているのです。

つまり、日本の政界全体が保育業界を守ろうとしているのです。その犠牲になっているのが待機児童なのです。

現在の認可保育所における高い設置基準は、子供たちを守るためのものではなく、保育業界を守るためにあるということです。

もし、子供たちを守るためにあるというのなら、その基準をクリアしていない保育所を許すべきではないし、無認可保育所の存在を認めないということになれば、行政は子供たちを全部、収容できるように認可保育所をつくらなければなりません。

行政はそれをせずに、待機児童を生じさせてしまっています。

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