一方で、四国の消費者、特に徳島県や香川県が顕著ですが、この2県の場合は、架橋によって神戸大阪との距離がグッと縮まったのです。その結果として、少しまとまった買い物をするという場合は、バスで梅田に出てしまうというのが「当たり前」になってしまいました。その結果として、徳島や高松の百貨店や専門店は大打撃を受けるに至りました。
更に四国の中は、全島を縦横に走る高速道路網ができており、廉価な高速バス網も便利になっています。その結果として、鉄道よりバスというカルチャーが成立していますし、近距離利用ということでは温暖な気候ゆえに365日問題のない軽四モータリゼーションが大発達するに至っているわけです。
もう一つ大きな要素は航空です。高知も松山も、羽田との航空ネットワークで東京と結びついているわけで、仮にフリーゲージが実用化されて、岡山から新幹線が四国に入ってくるにしても、東京直通などということにはニーズがそもそもないと思います。
JR北海道の場合は、確かに厳冬期の過酷な環境、あるいは寒暖の差による設備維持の苦労などがある反面、「冬こそJR」という優位性や期待はあるわけです。ですが、JR四国の場合は、そうではなくて通年を通じて、架橋のストロー効果、高速道路網、航空路線網、モータリゼーションとの競合に晒されているのです。
鉄道事業者としては何とも厳しい環境というわけですが、こうなるとJR四国がどうのとか、有識者会議がどうとかいうレベルを越えている話だと思います。時は正に民営化30周年を迎えているわけですが、JR四国の問題というのは、要するに国土計画の壮大な失敗としか言えない感じがします。
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