日本人が苦労して作った漢字熟語を国名に使う「中華人民共和国」

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日本人の生活にとって欠かせない漢字、これらすべての熟語が中国からやってきたものだと思ってはいませんか? 実は日本で作られ、中国へ逆輸入されたものも数多くあります。無料メルマガ『安曇野(あづみの)通信』の著者、UNCLE TELLさんは、その詳しい内容を記した1冊の書籍を紹介しています。あの「中華人民共和国」も「共産主義」も、日本の苦労無くしては存在しなかったって知っていましたか?

漢字熟語輸入大国、中国!

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アトランダムに並んだ上の漢字、なんだと思うだろうか? 多くは明治以降、欧米から新しく入ってきた概念などを、日本人が苦労して漢字にあてはめて作った熟語。その後、中国へ逆輸出(?)した漢字熟語なのである。もっとも中国では、例の簡体字で書かれるだろうが。

このことは、新潮新書『漢字は日本語である』(小駒勝美・著)からの紹介である。著者によると、中国の「日本漢字和漢字詞研究」いう本の巻末に、上記のような日本語から借りた言葉が多数並べられているとか。

面白いのは、また皮肉なのは中国の正式国名である「中華人民共和国」。「人民」も「共和」もそして国家の政治体制である「共産主義」も日本から逆輸入されたものであるという。

逆輸入語は、音読の熟語だけに限らず、日本語そのものであるものも少なくないようだ。「組合」「取締」「取消」といった訓読同士の熟語は、どうみても日本語、中国では「組合」を「ソゴウ」(中国音読みは「ツーホー」に近い)とい具合に音読して使っているとか。

新潮新書『漢字は日本語である』の著者、小駒勝美さんは、

漢字のルーツはもちろん中国だが、日本の漢字は、今や日本語という豊かな文化に欠かせないとのと同時に、現代では中国語の重要な一部になっているのだから素晴らしい。

と書いている。

image by: Shutterstock

『安曇野(あづみの)通信』

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発刊以来10年、みすずかる信濃はアルプスの麓、安曇野を中心に信濃の光と風、懐かしき食べものたち、 野の花、石仏、植物誌、白鳥、温泉、そしてもろもろ考現学などを、ユニークな(?)筆致でお届け!

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