2.「スタッフを理不尽な要求に屈させてしまった」
読者さまの中にも、理不尽な要求をのまされた経験がある方は、少なくないでしょう。一度でも経験すると、リスナーさんのように、何年も消化できず、気持ちが悪い記憶となって、残ってしまうものです。
わたしは、悪いことはできるだけ忘れるように、しています。しかし、それでも、理不尽に屈服させられた記憶は、忘れられません。頭を下げた相手にではなく、自分に理不尽を強いた上司や店長、経営者層に対して、恨みや憎しみに似た、ネガティブな感情が、残っているのです。
理不尽を強いられると、まず、仕事に向かう気持ち、やる気、会社や組織に貢献している自覚、組織に対する一体感が失われ、気持ちが「折れて」しまいます。さらに、一度気持ちが折れた人は、ミスが増えたり、ほかのクレームを誘発したり、他のスタッフに事情を話して、離職率が上がる結果になったりと、良いことは一つもありません。
では、このケースの場合、どのように対応するのが、良かったのでしょうか。
たしかに、断り続ければ、ほかのお客さまの注文や会計の、迷惑になる可能性がありますね。また、こんなことくらいで、警察を呼ぶのも、はばかられます。
おそらくは、やはりタダでふりかけをあげて、おとなしく帰ってもらうのが落としどころになるのでしょう。ただし、その時は、必ず店長が対応し、言い方にもポイントがあります。対応例です。
このふりかけは、お客さまへのサービスですが、あなたはお金を払っていないので、お客さまではありません。いいですか? あげられないとことわった、●●君は間違えてないんですよ。今回だけは、ご飯がもったいないので、ふりかけをあげますが、次来ても、絶対にあげませんからね。約束してくださいね。
こう言っていれば、スタッフであるこのリスナーは、当時の店長に対して、何十年もネガティブな想いを抱かずに、済んだはずです。「困ったおじいさんでしたね」「そうだね~塩撒いておこうかね」とかなんとか言って、かえって絆が深まり、もっと良い関係になれたのではないか、そう思うのです。
結果、経営方針も曲げておらず、スタッフも理不尽を強いられず、年配の男性はふりかけをもらえる。次からは、約束どおりきちんと断り、それでもしつこい場合は、この年配の男性の家族に相談して、ふりかけのお金を払ってもらう、近くの交番から、おまわりさんに来てもらうなど、対処法もいろいろ準備できますね。
- 経営方針は曲げない
- スタッフ>クレーム客
これら2つに気をつけるだけで、誰かが理不尽な思いをすることが激減します。ぜひ覚えておいてください。
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