中国がスパイ密告に奨励金。カネ目当てで日本人が餌食になる恐れ

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中国の首都・北京市が新たに施行した、一般市民によるスパイ行為の通報を奨励する規則。事件の摘発につながる情報提供者には、最高で日本円にして約800万円もの報奨金が支払われます。無料メルマガ『石平(せきへい)のチャイナウォッチ』の著者で中国出身の評論家・石平さんは、この高額の報奨金目当てに、外国人を監視し嘘の情報をでっちあげて通報する者が続出する可能性もあり、中国・北京市には気安く近付くべきではないとの警告を発しています。

「密告奨励」でスパイ狩り「天国」と化した北京 近づけばスパイ通報乱発の餌食に

今月10日、中国の北京市国家安全局は、スパイ行為に関する新たな規則を制定し、施行した。一般市民によるスパイ行為の通報を奨励し、事件の摘発につながる重要な情報を提供した場合、通報者に最高で50万人民元(日本円で約800万円)を報奨金として払うという、いわば「密告奨励」の規則である。

これに対して、誰もが疑問を感じるだろう。どこの国でも同じだが、スパイ活動への監視や摘発というものは本来、専門の反スパイ機関が行うもので、高度な専門知識と技術を要する仕事である。一般人がスパイ活動を見破り、「通報」することはそう簡単にできるはずもない。北京市の新規則は一体何が狙いなのか。

問題のポイントは、今の中国で当局が言う「スパイ活動」とは一体何を指しているかである。

2014年11月から、「反スパイ法が施行されることとなったが、スパイの定義を定めたその38条には「(5)その他のスパイ活動を行うこと」とある。この場合の「その他」とはまったく無制限なもので、いかなる拡大解釈も許してしまう危険な条文である。つまり、中国政府当局が「それがスパイ行為だ」と判定さえすれば、どんなことでもスパイ行為だと見なされる可能性がある。

実際、この反スパイ法が施行されて以降、日本人だけで4人以上が中国で拘束されることとなったが、彼らの中には、普通のビジネスマンや主婦、日中間の交流活動に従事している友好人士が含まれている

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