乗客引きずり出し。ユナイテッド航空が犯した最大のタブーとは

 

4.社員への通知の是非

では今回の事件で、そもそも社員向け説明メールが悪かったのでしょうか?「危機対応は全社でが大原則です。炎上を巻き起こす組織というのはまず間違いなく風通しが悪く臭いものにフタ体質です。トラブルやミスに「あってはならないもの」という精神論で対処しようとします。

「トラブルやミスは『絶対に』あるもの」なのです。精神論でしか危機に対応できない組織は組織ではありません。竹槍で戦略爆撃機と戦うことは不可能です。

危機対応の視点から社員への事情説明はむしろ薦められます。ただし、当然のことながら危機時には情報が錯綜し、まだよく全体像がわかりません。また情報が不足したり間違っている可能性も高く、真実を確かめるにはどうしても時間が必要です。つまり危機発生時の事情説明では、まだ正確な情報がそろっていないのが普通なのです。

ではそんな不正確な情報を流す必要はないのではないでしょうか。そうです、「不正確な情報は不要です。危機時の情報シェアは正確な情報ではありません。「危機発生」の事実告知です。組織にとっての危機が起きていることを発信するのが最大の目的です。

危機が起こっているのですから、社内全社を挙げて危機に備えなければなりません。その呼びかけこそ、危機発生第一報の目的です。それこそ不用意に不正確な情報で行動したり、間違った情報が流布するのを防ぐためにも、勝手な行動や情報発信を禁ずることが何より大切です。

5.やらかしたことは何?

巨大企業・ユナイテッド航空対個人客という圧倒的な差のある対立で、個人を巨大企業が攻撃すれば、ことの良し悪しにかかわらずイメージにおいて巨大企業側は不利になります。「日本なら「お客様は神様」と勘違いしている馬鹿者が騒ぎ出します。・・

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image by: Twitter(@JayseDavid

増沢隆太

増沢隆太

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「謝罪のプロ」として著名人記者会見のたびにテレビ、ラジオ、新聞でコメントしまくるコミュニケーションのプロ。ロンドン大学大学院では戦争研究を行い、帰国後外資系企業数社でブランドマーケティングを担当した。その後、人事コンサル会社勤務を最後に独立し、人事・経営コンサルタントとして活躍。現在は講演、企業研修、大学生向け講座などで全国を回るほか、東京工業大学の特任教授も務めた。

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