昨今、個人情報保護の観点からマンションのポスト等に名前を敢えて出さない家庭も少なくありません。そんな中、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんが耳にしたのが、思わぬ「名前の効用」。廣田さんは、こんな時代だからこその「名前や名前で呼ぶことの重要性」について記しています。
名前は単なる識別記号じゃない
こんにちは! 廣田信子です。
先日、昭和20年代、アメリカの影響を強く受ける戦後デモクラシー時代に小学生だった知人よりとても考えさせられる話を聞きました。その方が通う大阪の小学校では、クラスを1組、2組、3組…とは呼ばずに、別の呼び方をしていたといいます。
どんな呼び方だと思う? と聞かれて、アメリカだからA組、B組…?(全然、ユニークじゃない)、い組、ろ組…(ちょっと時代に逆行?)、じゃあ花の名前で、ゆり組、バラ組…(幼稚園じゃないよね)、色は! 紅組、白組…(う~ん、運動会みたい…)、と、みんなで考えましたが、これ以上浮かびません。
そこで、ヒントが!「○○組」じゃなくて、別の呼び方だと…。そこでも、「○○クラス」というベタな発想しか浮かばずお手上げ状態。
そこで、半分答えが…。「○○ホーム」と呼んでいた…と。「ホーム」…そうなんだ~! そういえば、「ホームルーム」というという呼び方は、今も学校に残っています。そうか、クラスは、学校における「ホーム」なんだ。
では、○○に何が入るか…。数字でも、アルファベットでもなく…。これもお手上げで、答えを教えてもらいました。
なんと、○○には、担任の先生の名前(名字)が入るのです。廣田ホーム、田中ホーム、森ホームといった具合に。そうか…クラスって、担任の先生が親代わりの学校におけるホームなんだ!!
ものすごく新鮮でした。先生の名前が付くだけで、クラスと言うものが、単に1学年の人数を機械的に分けて、それぞれのグループに識別記号をつけたものじゃなくなります。で、きっと先生の意識も、単なる1組の担当という呼び名とは違うはずです。実際に、ものすごく先生と生徒に一体感があるいい学校だったといいます。今ではすっかり姿を消してしまいましたが、こんな呼び方が広がっていたら、ひょっとしたら、今とは少し違ったクラス運営になっていたかも…。