私たちが無意識のうちに使っているカタカナ語。そんな「和製英語」のために日本人は正しい英語が取得できないとも言われます。これまで様々な言語や語学に関する記事を配信してきた無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さんは、この件についてどう考えているのでしょうか。知らず知らずのうちに日本語と化した言葉を例に挙げて解説しています。
日本語は懐が広い言語
時々、「カタカナ語があるから日本人は英語が身につかない」という話を聞きます。いわゆる「和製英語」が正しい英語の習得を邪魔している、という論です。
まあ英語としては「間違っている」ものが少なくないのは認めますが、それを「英語」と思うからややこしいのです。和製英語はもう日本語なのです。
どのくらい日本語なのか、というのは語によって違います。英語じゃありませんが、たとえば「たばこ」という語はもとはポルトガル語ですが、外来語の表記で一般的な「タバコ」という片仮名での表記だけでなく、平仮名で「たばこ」と書くことも「煙草」と漢字で書くことも可能です。外来語でも溶け込んでしまうともとから日本にあった言葉のように振舞えるという例です。
「カッパ」も、英語ならcapeという語にあたるcapaからきた語ですが、「合羽」という漢字表記も可能だし、「雨合羽」なんて連濁(れんだく)しています。普通、外来語が連濁することはないのですが、ここまで溶け込む語だってあるのです。
もっと古くさかのぼれば、漢語は全部外来語ですね。「山」という語が伝わったころ、実は日本語には「ん」の音がなかったと考えられています。それでも、今でいう片仮名表記で「サン」という音とともにやってきた「山」という字。これを取り込むうちに「ん」という音が日本語に入りました。音の体系を変えつつ、できるだけそのまま取り込むのが日本語の性質と言えるでしょう。