街路樹などの新緑が目に鮮やかな季節がやってきました。その木々の葉、なぜ私たちが緑色と認識できるか、ご存知でしょうか。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さんがその仕組を解説、さらに「光合成」の意外な事実も紹介しています。
葉っぱはなぜ緑色に見えるの?
目には青葉 山ほととぎす 初がつを(素堂)
皆様もよくご存知の俳句です。多くの人は「目に青葉」で覚えていらっしゃると思いますが、本来は「目には青葉」です。ただ、「字余り」なので、「目に青葉」で広まったようです。
意味は、「目には新緑が眩しく映り、耳には山ほととぎすの鳴き声が聞こえてくる。口には初がつおを味わう」という感じでわずか17文字の中に、「視覚・聴覚・味覚」の三つの感覚で捉えた初夏の季節の様子を封じ込めています。
この時期、まさに新緑のまぶしい季節です。我が家の東には「河内富士」と呼ばれる交野山があり、職場からは六甲の山並みが見えます。実に美しく、気持ちのいい季節です。
さて、この「新緑」はもちろん、木々の芽・葉が緑色だからそう見えるのですが、なぜ葉は緑なのでしょう?
小中学校の理科で「光合成」を習ったことを覚えている人なら「葉緑体があるからでしょ?」とお答えになるかもしれません。正確には「葉緑体の中の葉緑素」が緑色の素なのですが、では「なぜ葉緑素は緑に見えるのか?」というのが疑問として残ります。
私たちはどうして「色を感じる」のでしょうか? 私たちの目が「赤色だ」「緑色だ」と感じているのは、その物質がその色を「反射」しているからです。その物質が反射した色を受け止めて色を感じています。
そもそも太陽の光はあらゆる色の波長を含んでいます。ですから、太陽の光は特定の色はしていません(明け方や夕方は赤っぽくなりますが)。そのあらゆる色の波長を含んだ太陽光線を受けて、葉っぱは緑色の波長だけ反射しているのです。
では残りの波長は? そう、葉緑体が残りの波長を吸収して、光合成を行っているのです。光合成は、水と二酸化炭素を原材料に、光のエネルギーを受けて、酸素と養分を作る作用です。その「光のエネルギー」は、太陽光でも人工光でもいいのですが、緑色の波長ではダメだということになります。
そして私たちが見ている「赤」「青」「黄」などの色は、その物質は他の色の波長は吸収して、それぞれ「赤」「青」「黄」を反射している、ということなのです。
私たちが色を感じる、物質がある色をしている、ということの仕組み、面白いものですね。
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