極右敗北。仏大統領選マクロン勝利で始まるグローバリズムの逆襲

 

マクロン勝利は、グローバリズムの逆襲

2016年、アメリカ大統領選挙は、グローバリスト・ヒラリーとナショナリスト・トランプの対決だった。今回のフランス大統領選挙は、グローバリスト・マクロンとナショナルスト・ルペンの対決だった。

マクロンは、Rothschild & Cie 銀行で出世した、バリバリのグローバリスト(Rothschild & Cieは、パリ家5代目当主ダヴィッド・ロスチャイルドが1983年に創業した銀行)。ルペンは、フランスの「EU離脱」「移民、難民規制」を訴えるバリバリのナショナリスト。

アメリカでは、ナショナリスト・トランプが勝ちましたが、フランスではグローバリスト・マクロンが勝ちました。なぜ?

一つは、「ナショナリスト・トランプへの幻滅」があると思います。トランプさんは、選挙戦中と選挙後で180度違うことをしている。彼は現在、2015年3月以前のオバマとあまり変わりません。唯一違うことといえば、北朝鮮に対する姿勢がオバマと比べ強硬であることでしょう。

もう一つは、フランスとイギリスの違いです。「EU離脱を選択したイギリスは、もともと「EUの脇役」でした。それで、イギリスは、「ユーロ圏」に入らず、自国通貨「ポンド」を残している。国境検査なしで人の行き来を許す「シェンゲン協定」にも入っていない。

一方、フランスはEUの主役」です。欧州では「ナチスドイツアレルギー」が強かったので、ドイツが政治の主導権をとることに警戒感があった。それで、EUは、「フランスが政治を主導し」「ドイツが金を出す」という役割分担でつくりあげてきた。

つまり、イギリスと違い、フランスにとってEUは、「俺たちのプロジェクト」という意識がある。だから、自己否定するハードルが高いのでしょう。

それに、EUやユーロというのは、とても便利なものです。19か国でユーロがつかえる。「シェンゲン協定」により、欧州のほとんどの国に、自由に行ける。これは、わかりやすい「便利さ」。ルペンさんのEU離脱!」「自国通貨フラン復活!」といった主張は、フランス国民には過激すぎたのでしょう。

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