311以降、徹底的に脱原発に舵を切ったドイツと当事国・日本の違い

 

高速増殖炉の開発は順調とは程遠いし、放射性廃棄物の最終処分場の目処も全く経っていません。「核のリサイクルは絵に描いた餅でしかなく(プルサーマルは単なる詭弁です)、このままでは、せっかく備蓄したプルトニウムを処分せざるを得なくなります。

福島第一の廃炉作業も全く思うようには進んでおらず、(公式には言いたがらないものの)地下水を介して、大量の放射性物質で海を汚染し続けています

あの事故の被害総額は、住民への(十分とは言えない)補償、今後何十年も(ひょっとすると100年以上も)続く廃炉費用を合わせると20兆円を超えることは明らかで、経産省が事故リスクを含めた原発コストの試算に使った4兆円がいかにデタラメなものだったかが分かります。

それでもエネルギー政策の抜本的な見直しが出来ないのは、失敗を潔く認めることが出来ず、かつ、大量の関連団体(=天下り先)を作ってしまった霞が関にあり、(長年の交渉により、ようやく手に入れた)準核保有国の地位を失いたくない政治家にあるのです。

本来であれば、事故があった年に、菅総理が宣言した通りの「脱原発に舵を大きく切るべきだったし、東電はあの時点で破綻させて、発送電分離を一気に加速すべきだったのです。

核のリサイクル」に関しても、「もんじゅ」があの状態になった時点で、政策の根本的な誤り失敗を認め、再処理から地層処理へと、大きな政策変更をすべきだったのです。

この6年間で、脱原発に踏み切ったドイツと、問題の先送りをした日本との間には大きな差が開いてしまいました。米国も、再生可能エネルギーへのシフトを順調に進めています。

その結果、ドイツのシーメンスと米国のGEは、政府に先んじて脱原発を果たして再生可能エネルギーで順調に業績を伸ばしています(参照:独シーメンスと米GE、「脱原発」業績けん引)。

ウェスティングハウスというババを自ら高値で引いた結果、虎の子の医療機器ビジネスと半導体ビジネスを切り売りしなければならなくなってしまった東芝とは対照的です。

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