一方で、韓国は経済力の減退も大きな弱みとなっています。韓国は、輸出依存度が50%を超える通商国家です。通商相手国の経済や外交に左右される部分が大きくなります。実際、すでに中国からTHAAD問題に絡み、韓国は経済的な嫌がらせを受けていることはニュースなどでも報じられているとおりです。
同時に、THAAD問題にしても慰安婦合意にしても、相手があることですから韓国だけでは決められることではありません。すでに日本は慰安婦合意の再交渉には応じない姿勢を示しています。
したがって、文在寅大統領は国内問題をすべてクリアできても、対外問題こそが真価を問われることになります。ことに対日米の問題が正念場となってきます。
これから衰退の一途を辿ると見られている韓国の生存条件をどこに設定するか、再び中国とアメリカに対するコウモリ外交を展開するのか、反米・反日で中国に傾斜するのかといった根本問題が控えています。
文在寅氏は、韓国資本によって北朝鮮に設立している開城工業団地や金剛山観光も再開すると述べています。また、就任式での演説では、条件が整えば平壌を訪問するとも言っています。
中国の習近平主席がトランプ大統領との会談時に「韓国はかつて中国の一部だった」という話をしていたことが明らかになっていますが、暗に「朝鮮問題は中国に任せてくれ」という意思表示だったと考えられます。
文在寅大統領が「第二の盧武鉉」となれば、米韓関係も日韓関係も悪化するのは避けられません。トランプ政権が朝鮮半島におけるアメリカのプレゼンスを低下させていった場合、朝鮮半島の安全保障は中国が主導することになりかねません。
現在、日本では安倍首相の発言から憲法改正論議が再燃しつつありますが、こうしたアジア情勢も見越したうえで日本は安全保障を考える必要があります。今後、ますます混沌としてくる朝鮮情勢に日本は備えるべきです。