あずきバーの井村屋が、寒い冬にアイスクリームで最高益を出せた訳

 

話は少しそれますが、セブンイレブンは冬に販売を開始するのが常識だった「おでんを夏から販売開始して大ヒットさせました。今でこそ夏におでんを販売するのは当たり前の光景になっていますが、当時は「夏におでんが売れるわけがない」という考えが一般的でした。しかし、セブンイレブンは「おでんは夏に売れない」という常識を疑ったのです。逆転の発想で夏におでんを売り始めました。

井村屋のやわもちアイスの大ヒットも同じ発想と言えるでしょう。冬に自社のアイスの売上げが落ちる中、冬でも売れるにはどうすればいいのかを考え抜いた結果、やわもちアイスが誕生しました。冬でも美味しく食べられることが大ヒットにつながりました。逆転の発想といえます。

冷凍下でもやわらかいもちは長年アイスの製造を続けてきた井村屋ならではといえるでしょう。ようかん、あずきバー、あんまんを扱ってきたなかで磨きをかけた「あずき」の存在がより美味しさを高めています。「技術素材逆転の発想」の3つをうまく融合させたことが成功の要因といっていいでしょう。

井村屋は他にも逆転の発想で商品開発と販売を行っています。看板商品「あずきバー」が最たる例で、ユニークな施策が話題を集めています。

あずきバーはアイスを軟らかくする増粘剤や食品添加物を使わず、原材料はあずきと砂糖、コーンスターチ、塩、水あめだけです。また、空気の泡が少ないという特徴があります。そのため、類を見ない固さになっています。

あずきバーは、世界有数の刃物の町・岐阜県関市の固い日本刀と「固さ」で共通していることから、「あずきバーが固いのは関市の刀匠の鍛錬によって鍛えられたから」というジョークがSNSで話題になりました。SNSでの盛り上がりを契機に、井村屋と関市は良好な関係を構築してきました。井村屋のあずきバーを使った限定メニューを提供するコラボカフェを、はじめは名古屋に出店し、後に関市が開催した「第49回岐阜県関市刃物まつり」でも出店しました。このコラボ企画もSNSなどで大きな話題になりました。

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