なぜ無名な町の名を冠した居酒屋が「ミシュラン」に載れたのか?

 

全国の自治体が熱視線~地方創生のご当地酒場

「北海道八雲町を最初に知った時に、一番感動したことは、聞いたこともない町にすばらしい産品があることに感動して、その食材を使ったお店があると面白いと思って作りました」と言う合掌。自治体とはお互いに連携協力し合うという協定を結ぶ。ファンファンクションが店を使って自治体をPRする代わりに、自治体は窓口となって、町の自慢となる食材や生産者を紹介する、という取り決めだ。町は食材を通じてPRができるし店にとっては珍しい良いものが手に入る

協定を結んでいる北海道南部の八雲町は、人口およそ1万7000人の小さな町。ファンファンクションが八雲町から公認をもらって今年で8年目になる。合掌は機会があるごとにこの町を訪ねている。

「最高にいい仕組みだと思う。合掌社長の店が続いていくことで、八雲の食材の価値が上がっていく。かなり期待している」(岩村克詔町長)

そんな期待と実績もあり、ファンファンクションにはいい食材が優先的に提供されている。八雲町のホタテは、直送してもらうことで、築地を通すより3割ほど安く仕入れることができる

さらに町のPRだから、東京にはない珍しい食材も紹介してもらえる。その一つがあの軟白ネギだ。八雲町の軟白ネギは北海道以外には流通していなかったという。特別にファンファンクションにだけ、卸したのだ。

「知名度を上げたい。軟白ネギは北海道内の消費だけで道外の消費はなかった。知ってもらうってことが第一」(佐々木農園の佐々木尚志さん)

手を組んで8年。その効果について岩村町長は「一番はふるさと納税。居酒屋に行く人は、食べておいしかったらふるさと納税を寄付しようかと思うから。えらい効果」と言う。

いま話題のふるさと納税。八雲町も海産物や畜産品など、様々な返礼品を用意しているが、わずか150万円だったふるさと納税の金額が、今や11億円を超えている。

ある日、日本橋にある八雲町の店にやってきたのは、その八雲町の漁師たち。持ってきたのは、この日の朝水揚げしたばかりのホタテだ。大事に育てたホタテをタダでふるまい、お客の評価を聞きたい。そんな機運も生まれた。

「おいしい」「甘い」というお客の評価に、「今日、お客を相手にうまいと聞いただけで、PRした甲斐があった。たくさんの人に知ってもらうことで結果が出てくると思う」(漁師の花田邦彦さん)

喜んでいるのは、生産者や自治体だけではない。ファンファンクションの売り上げも右肩上がりで、今や15億円に迫ろうとしている。

「我々が存在することで客からも生産者からもありがとうと言ってもらえる。これがスタッフのやる気になりさらにいいサービスを提供する源泉になる。三方良しです」(合掌)

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