地に堕ちた国産ジェット旅客機。三菱MRJ、5度の延期はなぜ起きた?

 

確かに日本の産業界は、ケーブル、センサー、マイコンといった部品の製造ノウハウとしては今でも世界の最高水準をキープしていると思います。ですが、航空機用の部品には独特の規格があり、それを満たしているという証明が取れているかというと必ずしもそうではないのです。

航空機用の部品に必要な規格といっても、統一されたものがあるわけではありません。例えば「ボーイング規格」とか、「エアバス規格」というようなメーカー別のものがあり、その他に各国の軍による「ミリタリー規格」というものがあります。

規格というのは、要するに強度や信頼性ということですが、内容は複雑で、例えば「ねじれ」や「曲げ」に対する強度、高温や低温に対する耐性、更には「防カビ性能」まで問われるという厳しいものです。

こうした「航空機用の部品の規格」ですが、発注者(航空会社など)が、オーダーを入れる際に「この規格は満たしてください」というリクエストを入れることもあれば、厳しい発注者の場合は、そもそも「規格を満たした部品」しか認めないという場合もあるわけです。

所定のコストで、この厳しい規格にパスするというのは、一種の職人的なノウハウに加えて、技術的には特許等で守られているものもあり、実は日本のエレクトロニクス業界では、必ずしも対応が進んでいるとは言えないのです。

ですから、今回のMRJの場合は「うっかり規格の取れていないもの」が使用されたとか、規格にこだわると海外製の部品を使わざるを得ないなど、試行錯誤が続いているのです。

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