吉野家が牛丼戦争で一人負け、出前サービスで活路を開けるのか?

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売り上げの低迷に悩む牛丼チェーン大手の「吉野家」が、出前・宅配サービスの「出前館」と提携し、本格的にデリバリーに参入する見通しです。無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんは、吉野家が自前でデリバリーをせずに「出前館」にアウトソースした理由を分析しつつ、同社の今後について考察しています。

売り上げアップに四苦八苦する吉野家、「出前館」との戦略的提携で上昇気流に乗れるか?

牛丼チェーン大手の吉野家が苦戦しています。

4月の既存店売上高は前年同月比91.6%と、8.4%の大幅なマイナス。吉野家は4月に4週連続で金・土曜日に牛丼並盛などが300円となる「春の300円まつり!」を大々的に展開しましたが、客数は前年同月比12.2%も減少するなど、不発に終わった格好です。

ただ、牛丼業界すべてが不調だったわけではなく、「牛丼御三家」の残りの2社、すき家は4月の既存店売上高が前年同月比5.2%の増加、そして松屋は3%の伸びを記録していることからも、4月は吉野家の「一人負け」の現状がクローズアップされます。

ここ1年間の月次売上推移を見ても、吉野家は売り上げが伸び悩んでいることがわかります。

mba20170607-1出典:吉野家ホールディングのウェブサイトより筆者作成

さて、なかなか波に乗れない吉野家。もし、あなたが吉野家の経営者であれば、どのような戦略で売り上げアップを図るでしょうか?

「出前館」とタッグを組みデリバリーを開始した吉野家

吉野家が下した決断は、お客様に店舗に来てもらうのではなく、逆にお客様に牛丼を届けるデリバリー

吉野家はデリバリーの注文を請け負う「出前館」と提携して、2017年3月から恵比寿駅前店で試験的にデリバリーを導入しました。

その結果、予想を上回る売り上げアップにつながったことから、6月1日から東京と千葉の7店舗にまでエリアを拡大してデリバリーを行うことを決定したのです。

吉野家に限らず、外食産業にとってデリバリーは売り上げアップにつながる効果的なプレイス戦略ということができるでしょう。

たとえば、マクドナルドも「マックデリバリー」と名付けた自前のデリバリーサービスを2010年12月から試験的に導入し、2017年6月6日現在では15都府県までエリアを拡大してきました。

今後、吉野家も「出前館」の拠点拡大に伴い、デリバリー店舗を拡大していくことが見込まれます。

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