共働きの夫婦が「共働き」しすぎると、貰える年金が減ってしまう話

 

じゃあ、「妻の年金は請求しないでおけばいいんじゃない?」って思われそうですが、支給開始年齢である63歳で既に年金の受給権が発生している為その手は通用しません。下手に請求遅らせると加給年金の払い過ぎが生じて、払い過ぎた年金を返してもらわないといけない等の問題が生じたりするので危険です。

ちなみに、この妻が65歳になるまでは夫の配偶者加給年金は消滅したわけではなく「停止の状態

仮に、何らかの原因でこの妻の老齢厚生年金が全額停止した(妻が在職して給与が高くて老齢厚生年金が全額停止したり、妻が失業手当を貰う等して老齢厚生年金が全額停止した等)場合は、夫の配偶者加給年金38万9,800円の停止が解除されて支給され始める

また、この妻は生年月日が昭和41年4月1日以前生まれだから、夫に配偶者加給年金が支給されている場合は妻が65歳になると妻自身の生年月日に応じて夫の配偶者加給年金から振替加算(この妻の場合は平成29年度価額1万5,028円)というものが妻の老齢基礎年金に加算されますが、妻自身に20年以上の厚生年金期間があるから振替加算は付きません。この辺も気をつけておく必要があります。

ところで、逆にこの妻の厚生年金期間が19年11ヶ月(239ヶ月)でギリギリ240ヶ月に満たない場合はどうなるのか。239ヶ月なら、63歳から貰う老齢厚生年金(報酬に比例する部分)→25万円÷1,000×5.481×239ヶ月=32万7,490円

この場合は夫の配偶者加給年金は妻が63歳になった後も、妻が65歳になるまで夫に配偶者加給年金38万9,800円が加算されます。なぜなら妻の厚生年金期間が20年に満たないから。

だから、妻が63歳から65歳になるまでの夫婦の年金総額は、夫は老齢厚生年金120万円+配偶者加給年金38万9,800円+老齢基礎年金75万円+妻の老齢厚生年金(報酬に比例する部分の年金)32万7,490円=266万7,290円となります。

厚生年金期間が1ヶ月違うだけで配偶者加給年金が全額停止になったり、ならなかったりで年金額が大きく変わってきたりする事もあるわけですね。だからあえて、自分の厚生年金期間を20年未満にしたほうが得な場合もあるんです。

その後、妻が65歳を迎えた時は妻自身に老齢基礎年金と振替加算が加算されます。妻自身の年金総額を算出。

老齢厚生年金(報酬比例部分)→32万7,290円。

経過的加算→1,625円(平成29年度定額単価)¥)×239ヶ月-77万9,300円÷480ヶ月×(20歳から60歳までの厚生年金期間212ヶ月)=38万8,375円-34万4,191円=4万4,184円

※注意

20歳から60歳前月までに存在する厚生年金期間は平成17(2005)年2月から平成34(2022)年9月の212ヶ月。

あの人と全く同じ条件で働いてきたのに年金額が異なる!?(経過的加算のメルマガ参考記事)

老齢基礎年金→77万9,300円÷480ヶ月×(212ヶ月+176ヶ月)=62万9,934円

この妻の生年月日による振替加算→1万5,028円

振替加算額(日本年金機構)

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