コメの下克上。山形の新ブランド米「つや姫」はなぜ成功できたか

 

つや姫のブランド資産

ブランド論の第一人者、アーカー氏はその著作の中で、よいブランドは、認知度、知覚価値、ブランド連想、忠誠心、周辺のブランド資産のエクイティと呼ばれる、5つの資産を持つ、という。

まず、プロダクト名が正しく「認知」されていて、「想起」されるかどうか。見た目の価値があるかどうか。人は知らないものを買わないので、認知度は重要な資産である。また、そのカテゴリーで思い出してもらえれば、購買につながる確率は高まる。

また、ブランドの品質が高い、とひと目でわかることで、ブランドの価値が高まるのは言うまでもない。ここでの近く価値とは、自社からの視点ではなく、生活者から見た視点での見た目の価値」になる。

ブランド連想とは、「ああ、このブランドは他のブランドと比べて、私の好みに近い」と連想をしてもらえるかどうか。ブランドと想定ターゲットとの間の距離感のようなもので、近ければ近いほど、「選ばれる」ということになる。

つや姫はブランド認知を上げるために、2007年からデビューに向けて3ヵ年戦略を策定し、ブランド化戦略を実践するために「つや姫ブランド化戦略実施本部」を設置し、山形県を上げての活動を開始した。

つや姫、というわかりやすいネーミングも、認知度向上に、一役かっていることも見逃せない。

現在でも、TVCMでは、阿川佐和子さんと、料亭菊乃井の御主人村田吉弘氏を起用し、話題性を創り、継続しての認知度をキープする努力を怠っていない。

つや姫クラブというコミュニティを立ち上げ、試食会の様子などをブログ的にアップしているし、その中でマイスターと呼ばれる人たちへのインタビュー記事を多く掲載することで、第三者からの評価、すなわちカスタマーレビュー的な、ニュートラルな意見によって、ブランド連想を強化している。

日本穀物検定協会におけるランキングでも、参考銘柄とはいえ、上位入賞し、知覚品質の見える化もされている。

最近では弟分と称する「雪若丸」をだし、話題を醸成することで、ロイヤルティ高いユーザーへの、ブランド再活性化も怠らない。

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