日本の民主主義は死んだのか。「共謀罪」強行採決を各紙はどう伝えたか

 

党の都合を国会審議より優先した公明党

【毎日】は1面トップに政治部編集委員のコメントが付いている。関連記事は2面、3面の解説記事「クローズアップ」、5面に政治記事と社説、11面の「論点」は識者のコメント、12面に論点整理のQ&A、26面と27面社会面にも。見出しから。

1面

  • 「共謀罪」法案 成立へ
  • 委員会省略し強行
  • 会期延長なしで調整
  • 「加計」再調査 きょうにも公表
  • 立法府の劣化深刻(平田編集委員)

2面

  • 「加計隠し」で奇策
  • 都議選控え かじ切る
  • 公明 渡りに船
  • 「会期内に」官邸意向
  • 中間報告って?(なるほドリ)

3面

  • 疑問点山積のまま
  • 「一般人」定義できず
  • 法相答弁ぐらぐら
  • 適用 捜査機関任せ

5面

  • 「中間報告」で国会紛糾
  • 「究極の強行採決」
  • 民進 戦術裏目に
  • 参院の役割放棄に等しい(社説)

26・27面

  • 権力の乱用に懸念
  • 「オウム」防げたのか
  • 適切な情報利用必須
  • 「白を黒にする力ある」
  • 市民「だまし討ち」
  • 列島に渦巻く怒り
  • 野党、「数の横暴」批判
  • 不安しかない/民主主義が危うい/バカげた審議
  • 「物言わぬ国民作る法律」

uttiiの眼

政治部編集委員の平田崇浩記者によるコラム。タイトルは「立法府の劣化深刻」というもの。議院内閣制の本義は、国権の最高機関である立法府が、内閣に連帯して責任を負うこととし、その立法府の役割には、審議を通じて政権が法治を逸脱しないよう、コントロールすることも含まれていると。「共謀罪」の審議では、「一般国民が適用対象にならないことを繰り返し政府に確認し、具体的な答弁を議事録に残すことによって法制化後の運用を縛る必要があった」とする。この指摘、非常に具体的で重要。

にもかかわらず、政府は「中間報告」という奇策を用い、審議の機会を奪ってしまった…これは「数の横暴」であり、立法府は責任を放棄したに等しいと。文末近くには、以下のように公明党に苦言を呈する部分も。

乱暴な奇策による早期閉会方針は自民党の発案だが、公明党も賛同した。同党が重視する東京都議選への影響を抑えるためだとすれば、国会審議より党の都合を優先したことになる。

この言い方は重要。《読売》などがよくやる手だが、ある政治的な行動について、その「狙いは…」と書き始めると、記事の中で、いつのまにかその行動が「致し方ない」、「やむを得ない」ものに化けていき、気が付くと「当然の行動」に昇格、免罪されてしまう。平田氏はそうしたロジックの流れを許さず、批判の意思を貫き通している

また、平田氏は一貫して“中間報告”には括弧を付け、“奇策”はそのまま使用している。平田氏自身、これは与党の奇策であると感じているからだ。

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