【書評】皇室ジャーナリストが明かす「皇宮警察」の知られざる姿

shibata20170628
 

「皇宮警察」をご存知でしょうか。読んで字の如く、皇室守護を目的とした唯一の警察組織なのですが、その詳しい姿はあまり知られていないというのが実情です。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、皇室ジャーナリストが2年の歳月をかけて取材した、知られざる皇宮警察のすべてを記した一冊を紹介しています。shibata20170628-1

皇宮警察
久能靖・著 河出書房新社

久能靖『皇宮警察』を読む。本の帯に「天皇をお護りし、皇室を護衛する!」とある。微妙にヘタな表現である。皇宮警察(こうぐうけいさつ)は皇室守護を目的とした唯一の警察組織である。わたしは知らなかった。皇宮警察を一般国民に詳しく紹介した本は、これが初めてなのだ。

著者は皇室ジャーナリスト。30年以上も取材のため宮内庁に出入りしていながら、皇宮警察を知らなかった。ふと気がついて、きちんと調べようと思い立ち、皇宮警察に打診したところたいへん喜ばれ、全面的な協力を得て約2年間にわたり密着取材ができた。本文も微妙にヘタだが、真っ当なレポートである。

皇宮警察は両陛下や各皇族方の護衛ばかりでなく、皇居をはじめ御所や御用邸などの警備も行う。それだけでなく、絶対に事件や事故、騒ぎを起こしてはならない、起こさせてはならない「絶対予防という崇高な使命を持つ。しかも護衛一辺倒ではなく、皇室と国民とのふれあいもサポートする難しい仕事だ。

皇宮警察本部は護衛部と警備部という二つの大きな部と、十課、四護衛署および警察学校から成る。護衛部は三つの課に分かれ、両陛下や各皇族方を直近で護衛するところから側衛官と呼ばれ、皇宮護衛官の誰もが憧れる任務である。国賓や各国大使が皇居に参内するときの護衛はとくに「儀衛」と呼ばれる。

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