就任半年で見えたトランプ外交の法則が壊す「日本の信頼」

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トリッキーな発言や外交姿勢が、良くも悪くも世界中から注目を集め続けている米トランプ大統領。「オバマに比べ信用できない」などの声も各国から挙がっているといいます。そんなアメリカの同盟国・日本は、先が読めないトランプ大統領の動きに追随するほかないのでしょうか? 今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌信彦さんが、トランプ外交の「法則性」を鋭い視線で読み解いています。

トランプ外交に翻弄されるな

世界を惑わせているトランプ外交の特色とその濃淡が徐々にはっきりしてきた。

第一に明確化させたのが反TPP(環太平洋パートナーシップ協定)である。オバマ政権時代は、TPPの旗振り役を任じ、アジア・太平洋貿易の新しいルール作りを目指しているようにみえた。

自由化・反保護主義を基軸にアメリカの競争力が強い農業や知的財産などの分野で日本や中国・アジアに切り込む狙いがあったと思われる。しかし、トランプ大統領はTPP反対を明言し、今後の貿易協定は多国間ではなく二国間で取引きしたいと言い出したのである。

第二は、オバマ政権時代は人権や環境など地球的価値観に共鳴し、21世紀の中・長期的環境問題のルール作りに理解を示していたし、リード役になる心づもりはあったようである。特に人権については、北朝鮮や台頭しつつあったイスラム国のふるまいに対し強く牽制していた。しかし、そのやり方は外交的対応が中心で直接的な対峙ではなかった。いわば、アメリカの伝統的価値観に則った手法であり、日本やEUにはわかりやすかった。

ところがトランプ政権になると「アメリカ・ファースト」を唱え、特に当初は白黒のメリハリをはっきりつけた物言いと手段をとったりしたので、世界中が混乱した。たとえば対中外交では、これまでの「一つの中国」論に対して「誰がそんなことを決めた」と言い、就任したばかりの台湾の蔡英文総統にお祝いメッセージを送り、アメリカに招待したりした。

アメリカが一つの中国を否定するような言い方をしたのは、1970年代の米中国交回復以来初めてのことだった。このため中国と台湾を分けて付き合っていた世界の国々、特に日本を驚かせた。

また、環境問題で中長期の地球環境問題の対応を取り決めたパリ協定に対しても参加しないと言い出した。これにはドイツのメルケル首相も、地球的問題の価値観を共有できない国は同盟国とは言い難いという趣旨の発言をし、世界に波紋を投げかけた。

さらにシリアへの突然の空爆もトランプの「やる時はやる姿勢を示したものとして、アメリカ外交の読み方を難しくさせた。

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