ところで、わたしがこの話を聞いて、思い出したのが、明治の「ザ・チョコレート」です。
シンプルなカラーとカカオのイラストで、洗練されたデザインになっています。2017年3月のニュースでは、予定していた販売計画の2倍以上のペースで、なんと7カ月で2,000万個超(!)を売り上げました。
「このパッケージでは中身がわからない。売れるはずがない」という、上からの厳しい意見に対して、「あなたの年代がターゲットではない」などと反論して、販売にこぎつけたんだそうです。
● 明治ザ・チョコレート開発裏話がネットで話題――画期的な商品の開発には社内の風通しのよさが欠かせない(BLOGOS)
ダジャレではないですが、方針を理解できないターゲットには売るつもりがないという明治と、方針に文句を言うくらいなら買わなくていいというターゲットに、考え方の違いはありません。客を選ぶのが、売る前なのか後なのかの違いだけです。
クレームが絶対になくならないように、すべてのお客さまが満足することも、ぜったいにあり得ません。つまり、売る側は、大切にしたいお客さまを、精一杯大切にすることだけを考え、合わない客に労力を割く必要はまったくないのです。
ただ、日本では、ターゲットのような対応は、マスコミの格好の餌食になります。そこで、炎上しないための、模範解答例です。
わたくしどもは、お客さまの信仰、思想の自由を、最大限尊重いたしております。また、正しい方法で頂戴したご意見は、すべて担当者が拝読いたします。しかしながら、すべてのご意見に対して、必ずしも対応することを、お約束するものではございません。ご意見をくださったことに感謝いたします。
かっこを除けば、137文字なので、Twitterでも使えますね。これらを送った後も、なおしつこければ、対応すると、却って喜びますので、無視すればいいだけです。
すべてのお客さまが満足する応対は存在しない。
いちばん大切にすべきものは何なのか、考えるきっかけにしてくだされば幸甚です。
image by: Shutterstock.com