【書評】米中が激突なら「戦場」の日本に、いま必要なこと

 

リアルに考えよう。米中が激突する場合は、核戦争にエスカレートしないようお互いが「手加減」を加えて戦い、双方の領土・市民を直接攻撃することには慎重になるだろう。その代わり、在日米軍のある日本という「戦場」においては、両国は遠慮会釈なく振る舞うだろう。米軍は家族や軍属を含め、激突以前に日本から逃げ出す。米中が朝鮮半島で激突すると、日本が戦場になる。

中国を相手の本土決戦は絶対に避けなければならない。著者は海空自衛隊を重視し、壱岐・対馬・五島列島ライン、南西諸島ラインの「水際以遠の国防戦略」を採用せよという。これは中国が実施している「接近阻止・領域拒否戦略の日本版である。もちろん開戦となれば、中国の領海・領空はもとより、今後は敵基地に対する攻撃も実施できるようにすべきである。

従来のように「海上に引き続き陸上(内陸部)でも戦う」というやり方から、「海上(それに連動する空中を含む)で敵を撃破して、敵を水際以遠で阻止することを目標として、内陸部で行う戦闘国土戦は原則として止める」というものだ。この構想・戦略を実行する上で南西諸島の価値は絶大である。

この戦略により南西諸島を確保し続けることができれば、中国の「接近阻止・領域拒否戦略」が成立しない。さらに南西諸島を活用し、自衛隊の戦力を集中すれば、中国による東シナ海の内海化を阻止する米海軍の戦略に貢献できる。南西諸島は中国の第一列島線突破を阻止するうえで重要な防柵になる。

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