戦後70年談話、米政府が「日本はすべての国の規範」と歓迎したわけ

 

「希望の同盟」演説後の大失敗

4月29日、「希望の同盟」演説で、オバマは元気を取り戻しました。

AIIB事件で(日本以外の)すべての同盟国に裏切られたオバマは沈んでいたのです。

「GDP世界3位の日本は、俺の味方だ!」と。

それで、2013年からはじまっていた中国による「南シナ海埋め立て問題」を突如バッシングしはじめました。「リベンジ開始」です。

米中関係はどんどん悪化し、「米中軍事衝突」を懸念する声まで聞こえてきました。

その時、「希望の同盟国日本」は何をやっていたのか? そう、なんと3,000人の訪中団を送り込み、中国との和解に動いていたのです。

オバマは、わけがわからず、「裏切られた!!」と思ったに違いありません。その後、どうなっているか、皆さんなんとなく感じていることでしょう。

  • 「希望の同盟演説」後の「日米蜜月ムード」は冷めた
  • アメリカは、中国バッシングを抑制した

これは、いずれも安倍内閣がフライングして中国と和解し、アメリカに不信を呼び起こしたことが原因です。

さて、安倍談話をなんとか乗り切った総理。アメリカはホッとしていることでしょう。しかし、総理はまた、こんな心配発言をされています。

反日的でないこと前提=中国の戦勝記念行事出席─安倍首相 時事通信 8月14日(金)23時2分配信

 

安倍晋三首相は14日夜のNHK番組で、中国政府が9月に北京で開く抗日戦勝記念行事への出席について、「まだ決めていない」とした上で、「この行事が反日的なものではなく、融和的な行事になることが前提ではないか。そうした式典になることを望んでいる」と述べた。

 

習近平国家主席との首脳会談に関しては「今まで2回、会談を行ったが、首脳間で理解は増したのではないか。3回、4回と重ねていけるようにしたい」と語り、実現に改めて意欲を示した。

そんなもん、「意欲を示さないでください」ですね。

アメリカは今、韓国の朴さんに、「出るなよ!」と圧力をかけている。それなのに、「希望の同盟国」日本の総理が、ノコノコと中国にでかけてどうするのですか?

しかも、「『抗日』戦勝記念行事」に(だいたい、「日本に勝った」と主張できるのは、蒋介石の国民党である)。

ご本人は意識しておられないと思いますが、日本政府の行動は外国から見るとこんな風に見えます。

ある男性(アメリカ君)に、「あなたが好きよ! 幸せな家庭をつくりましょう。一緒ならできるわ!」といったある女性(日本子)。

彼女は、翌日別の男性(中国君)のところに行き、「あなたが好きよ! 仲良くしましょう!」といってデートに応じる。

こんななので、安倍総理の「希望の同盟演説」も「談話」も「口先だけの詭弁だ」と思われて仕方ありません。

総理は、是非言行を一致させていただきたいと思います(とりあえず、中国に行くのはやめましょう)。

image by: 首相官邸

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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