国際社会に逆行する金融緩和。欧米の安倍追い落としが始まった

nichigin
 

米国FRBをはじめ、欧米諸国が金融緩和策からの出口戦略を打ち出す中、日本政府と日銀は金融緩和を継続しています。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、「円安になり日本だけが得をすることを先進諸国は許さない」と語り、安倍首相を始めとする「リフレ派」の経済評論家の見通しを「甘い」と断言しています。

グローバル化の中で日銀の金融政策は?

米国FRBの出口戦略に対して、EU・英国・カナダ・オーストラリアなどが中央銀行は一致して出口戦略を取る方向である。しかし、日本とスイスは金融緩和を継続する。スイスは小国であり仕方がないが、日銀の対応はおかしいし、問題を起こすことになる。

景況感と失業率

現時点のニューヨーク株価は、PER30倍まで行っている。割高の水準である。ITバブル時はPER40倍まで行ったが、それ以外ではこの水準はなかった。東京市場はPER14倍とニューヨークに比べて安い水準であるが、海外投資家は株価先物の売りになっている。将来は値下がりすると読んでいる。

円安であるにもかかわらず、海外投資家の東京市場での買いが少ないことで2万円を維持しているが上値が重い。何かが変である。今までは円安になると株高になると思われていたからである。

また、米国商業用不動産価格も過去最高の状態になっている。日本の不動産価格も銀座などの一等地は、1990年頃のバブル時の価格を超え始めている。東京都心全体の不動産価格も上がっている。

日本もバブルが始まっている。世界の通貨発行高が正常時の5倍になり、世界的にバブル的な現象が起こっているようだ。

しかし、米国の景況感はそれほど良くない。インフレも1%程度、日本では0%であり、先進諸国の景況感は良いわけではない。しかし、日米ともに失業率は、完全雇用に近い位置にあるが、賃金の伸び率が低い。

これは、上位10%の高所得者の資産が増えて、その人たちが不動産を買うか、事業用に不動産を買うので、バブル状況になっているが、90%の人たちの収入は、やっと生活できるレベルである。

このため、この層の消費は増えないし、物価が上がると困ることになる。そのため、商品を安くするので、賃金も上げることができないことになる。

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