退職届を出しても辞めさせてくれない。これ、ブラック企業では?

saiyou20170719
 

大決心をもって退職願を出したのに受け取ってもらえない、「退社には会社の許可がいる」との理由でやめさせてもらえない…。このような事例をよく耳にしますが、果たして法的に問題はないのでしょうか。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者の飯田弘和さんが、社労士という専門家の立場から「退職問題の真実」について記しています。

御社の就業規則には、退職手続きの定めがありますか?

民法627条では、労働者が退職の申し出を行った場合、原則として、14日を経過したときは「退職」となります。ですから、ブラック企業で働いている人がよく言っている、「会社を辞めさせくれないという事態は起こりません。「それで会社に損害を与えた」と言ってきても、そんな理屈はほとんどの場合、通用しません。まぁ、通用しない理屈を無理やり通すのが、ブラック企業のやり方ですが…。

ただ、14日だとあまりに短い。まともな引き継ぎもできない。そこで、就業規則に、「退職の〇〇ヶ月前までに退職願を提出する」ように定めていると思います。

この「〇〇ヶ月」ですが、会社としては、長ければ長い程よいわけです。次の人材を募集する時間も十分にあり、業務を引き継ぐこともしっかりできる。しかしそれでは従業員の「職業選択の自由」や、民法627条に定められた権利が侵害されてしまう。「強制労働」にあたって、労基法の罰則を科される可能性もある。

そこで、この「〇〇ヶ月の適正な範囲というものが問題となります。裁判例などを見てみると、1ヶ月程度まではOK、3ヶ月以上となると、「無効」となる可能性が高くなります。

また、退職には「会社の許可が必要」などと定めてある就業規則は、その部分が「無効」です。従業員の退職の自由を不当に制限する行為として「無効」となります。

実際には、こういう定めをしてある就業規則も多いと思います。ですが、これを文面通りに「許可していないから退職させない!」などと言ってしまうと、従業員とトラブルになります。いくら就業規則に定めてあっても、従業員から退職願が出されたら会社がそれについてとやかく言ってはいけません。退職を妨害することなく、会社は退職の手続きを進めていきましょう。

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