「血液型O型は蚊に刺されやすい」という話は、都市伝説なのか?

2017.07.24
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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巷では以前から「血液型O型は蚊に刺されやすい」という説があるそうです。

これは科学的な事実なのでしょうか、それともガセネタの類なのでしょうか?

今回は、この「血液型O型は蚊に刺されやすい」という説の真偽を、血液型と病気の関係を研究している「血液型病気学」の知見とあわせてご紹介したいと思います。

血液型への3つのアプローチ

長浜バイオ大学教授永田宏医学博士によると、血液型には3つのアプローチがあるとのこと。

一つは、医学的な「血液学」。純粋な自然科学です。

次に「血液型性格診断」。

これはご承知のように、性格心理学会などで科学的根拠のないことが科学的に実証されています。

いってみれば、占いのようなものといえるでしょう。そして最後に、正式な専門用語ではありませんが、血液型と病気との関連を、疫学的(疫学とは、人間集団を対象に病気の動向や原因を究明する医学の一分野)な方法などによって実証していく「血液型病気学」。

ただし、地味な研究分野ということもあって、華々しい知見は多くないようです。

永田博士によると、科学雑誌「ネイチャー」は血液型病気学の20世紀までの成果を、「血液型は分かりやすい遺伝的指標だから、これを体質や病気と関連づけようとする膨大な研究が行われてきました。しかし分かったことは、非O型がO型と比べてほんの少し、胃がんにかかりやすいことと、O型がやや胃潰瘍にかかりやすいということだけだった」(永田訳)と総評しています。

「O型は蚊に刺されやすい」の根拠?

さて、本題の「O型は蚊に刺されやすい」を血液型病気学はどのように考えているでしょうか。

たぶんこの説は1970年代に「ネイチャー」にそういう論文が掲載されたからだろうと永田博士は云うのです。

西アフリカのガンビアに棲息する「ハマダラ蚊」に被験者の血を吸わせる実験をしたら、O型、B型、AB型、A型の順番で刺されやすかったというのが論文の結論でした。

ただし、これは確証というほどではなかったので、その後1990年代になると、マラリア(媒介する蚊)と血液型はどうやら無関係だと結論づけられたようです。

ですから現在、医師が執筆されたサイトを閲覧すると、「科学的な関係はないだろう」との結論が多いです。

20代と30代とでは異なる原因も!

こうしたIT化の影響のほかにも、20代では、はじめて独り暮らしをする、就職するなど、「生活の変化が激しいこと」「夜更かしによる睡眠不足」「暴飲暴食」などが若年性健忘症をもたらすストレス因になっているといわれます。

そして、30代では、20代よりも大人としてのストレス、つまり「仕事が忙しすぎ」たり、人間関係や生活上のさまざまなストレスを同時にこうむっていることの影響、つまり「過度のストレス」といったことが、特異なストレス因と想定されています。

O型はマラリアに強い?

1998年になって、アメリカの研究者がアフリカ南部のジンバブエで、489人のマラリア患者を調べたら、A型ではマラリアが悪化しやすいこと、B型は重症化しやすく、O型はむしろ抵抗力が強いという結果を得ました。

この研究に刺激されて、同じような結論が複数あがってきました。

つまり、発病の確立に差はないものの、罹ってからの抵抗力は血液型によって差があるという見解です。

これを裏付けるかのように「国、地域、民族による血液型分布」を見ると、マラリア汚染地帯と呼ばれる、赤道付近アフリカ、アマゾン川流域、インドから東南アジア、パプアニューギニアといったところでは、他の血液型に比べてO型の割合が多くなっています。

その理由として、マラリアによって非O型が淘汰されたのではないかという仮説が立てられています。

ちなみに、日本では、A型38%、O型30%、B型22%、AB型10%と、4:3:2:1という比率になっています。

これは、世界共通の比率ではありません。

また、地球規模でみると「西A東B」「北A南O」という傾向があるそうです。

O型はコレラに弱い!?

マラリアに強いO型は感染症に対して無敵な血液型かというと、血液型病気学は「そうではない」と述べています。

たとえば、南アジアや東南アジアではO型に次いで、B型の比率が多くなっています。

インドではO型:37%、B型:33%、ベトナムはだとO型:42%、B型:30%のように、です。

またアマゾン川流域などではO型:100%というところもあります。

なぜ同じマラリア汚染地域のインド(南アジア)やベトナム(東南アジア)で、重症化しやすいB型の比率が高いのかについては、O型はマラリアには強いけれどコレラに弱く、これらの地域ではコレラに淘汰されてO型の比率が下がっているのではないかと、仮説がたてられています。

血液型と病気の関係

ほかにも、血液型病気学的研究として、たとえば、O型はすい臓がんになりやすい、消化器潰瘍になりやすい、ピロリ菌はO型がお好き、A型は血栓ができやすいなどなど、興味深い見解が提起されています。

とはいえ、これらはおもに疫学的な調査研究によって見出された結論です。

ですから、たとえば「遺伝学や免疫学などの立場からもっと厳密に、血液型と病気の関係性を明らかにしていく」といった、今後の課題を自らに設定して、目下のところ未成熟な自然科学だと自己規定されているように見受けられます。
 
【参考】
永田宏『血液型で分かる なりやすい病気 なりにくい病気』懇談者ブルーバックス、2013

 

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

image by: Shutterstock

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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