残業ゼロなら手当を支給。紳士服はるやまの新制度は正解なのか?

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コスト削減のためノー残業を推奨する企業は増えていますが、なんとノー残業に「手当」を支給する会社があるそうです。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、そんなユニークな制度を導入している「スーツのはるやま」を取り上げ、同社の徹底した「顧客との約束を守る企業姿勢」を紹介しています。

スローガンを現実のものにする

スーツで日本を健康にすることを掲げる紳士服店を展開している企業を分析します。

はるやま(紳士服店)

戦略ショートストーリー

健康を気にする方をターゲットに、「スーツで日本を健康にする」という宣言に本気で取り組む企業姿勢に支えられた「健康になれるスーツ」などの強みで差別化しています。

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健康をテーマにした業界初のスーツを次々にリリースし、さらには店舗を健康支援の拠点にするなど、「健康宣言」という約束を守ることで顧客の支持を得ています。

 

分析のポイント

● スローガンを現実のものにする

「はるやま」の素晴らしいところは、「健康宣言」をただの標語とせずに、現実のものにするべく、一貫して取り組んでいることです。

様々な企業がスローガン(標語)のようなものを掲げていますが、ただのお題目になってしまっている企業が多いです。なぜそうなってしまうのでしょうか。その主な要因は、実際の行動にまで落とし込まれていないからです。

大々的に社内外向けにスローガンを掲げたとしても働くスタッフの行動が変わらなければ、そのスローガンは、ただのお題目、絵に描いた餅に過ぎません。

「はるやま」の良いところは「健康宣言」をより具体的に「商品開発」、「店舗の役割」、「社内から健康にと落とし込んでいることです。ですから、商品開発担当者は、健康をテーマに商品を開発し、店舗スタッフは健康を訴求し、さらには、制度面では社員を健康にするために、ノー残業手当て(残業ゼロでも10時間分の手当を支給)まで支給しています。

このノー残業手当により、人件費は1億円程度、増える見込みのようです。これが何を意味するかというと、コストをかけてでも社員の健康を実現するという本気度の表れだと思います。

本来、残業削減はコスト削減を目的に行われることが多いです。利益を確保するために、残業を削減するというのはよく聞きますね。「はるやま」の場合は、社員を健康にするためにコストをかけてでも残業を削減しているわけです。

治山社長が「健康宣言」という約束を本気で守ろう、一貫して実現しようとしていることが伝わってきますね。やはり、トップのコミットメント(責任をもって関わること)がなければ、社内には波及していかないですし、現場の行動にはつながりにくいでしょう。トップの本気度が伝わって初めて現場の行動が変わっていくのだと思います。

今後、健康をテーマに「はるやま」がどのような企業となっていくのか非常に楽しみです。

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