英語ができると何がトクか
早期の英語教育はムダだと言いたいわけでもない。
英語(だけでなく他言語)に触れる機会は、早くからあった方がいいと思う。他言語で考える練習や、異質な文化体系に触れる体験は多いに越したことはないし、早いに越したことはない。その体験は、音楽や体育と同じように、経験値を上げて脳の基礎力を上げることに役立つと思う。
でも、子どもに英語を学ばせる目的を、大人のほうがもう一度整理した方がいいんじゃないかと思うのだ。
目的は「英語ができるとカッコいい」ではないはずだし、漠然とバイリンガルにしたいというのなら、子どもにとっては迷惑な話だ。
小学校に英語が導入されても、「芸」の進み具合を測るテストが増えるだけでは本末転倒だと思う。
「将来、世界に向かってきちんと意見が表明でき、情報が読みこなせるレベルの英語力をつける」というのが目的なら、まず、英語を話す世界に入っていくことのメリットを、子どもたちに説得できなければだめだと思う。
「芸」としての英語ではなくて、生きている文化として、リアルな社会のツールとして、考えるツールとしての英語とその先にある情報の世界が、自分にぜひとも必要で入手可能なものとしてリアルに感じられないとモチベーションにはならないし、本当の知的刺激にもなり得ないと思う。
小学校で英語を導入するとしたら、その英語を使って手に入れられる多様で魅力的な世界をリアルに体験させてあげること以上に大切なことはないんじゃないかと思うのだ。
【TOMOZO】 yuzuwords11@gmail.com
米国シアトル在住の英日翻訳者。在米そろそろ20年。マーケティングや広告、雑誌記事などの翻訳を主にやってます。
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