民進党・新代表に「枝野」はあっても「前原」はあり得ない理由

 

これをもう少しわかりやすく語った記事が、14年1月の『通販生活』に載っている。

安倍内閣による解釈改憲は「立憲主義」の破壊。憲法が政権の暴走を止められない状況です。

現行憲法の最大の問題点は、自衛権などを規定した条文がなく、すべてが解釈にゆだねられていることです。

憲法9条が掲げる平和主義が、日本の軍備拡張に対して「歯止め」になったのは事実です。しかし、憲法9条の歯止め機能は、内閣法制局の解釈に依存しているという点で脆弱性があります。法制局も内閣の一部局ですから、内閣が恣意的に解釈を変更してしまうことも可能なのです。

実際は、すでに立憲主義は破壊されています。内閣総理大臣が公然と、従来の憲法解釈と整合性がつかない解釈変更を試みているだけで、権力を拘束する憲法の力は大幅に落ちてしまいました。憲法が政権の暴走を止められない状況です。たとえ条文が変わらなくとも、解釈を変えることで自衛隊の活動範囲などが無原則に拡大していく可能性だって残されているのです。

だからこそ恣意的に変更可能な解釈ではなく、歯止めを「明文化」することで、従来の平和主義の基本を守りながら我が国を取り巻く安全保障環境にも対応できるようにすべきなのです……。

枝野の企図は、専守防衛の立場を守るために条文で自衛権の解釈を明確化するところにある。それに対して前原は、周知のように、専守防衛を踏み越えて集団的自衛権を解禁することに賛成であるし、さらには、

敵地攻撃(能力の保有)については、私は否定的なスタンスではない。

先制攻撃を行う際には、弾道ミサイルと巡航ミサイル、航空機による攻撃という3つの類型のいずれを保有・運用するにせよ、高価になり時間も10年仕事になるが、その是非についての見直しの議論はあってもよい……。

と言っていて(前出『週刊東洋経済』)、これは自民党タカ派の議論とほぼ同じである。

2人の論争になった場合、この微妙かつ重大な違いをマスコミがよく理解して丁寧に報道するかどうかは極めて疑問なので、今から自分で研究しておくようお勧めする。

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