トヨタ自動車にとって、もう一つの大きな悩みは、莫大な開発費を投じてきた水素自動車です。「EV に本気で取り組む」とは、すなわち「水素自動車を捨てる」ことです。現在のように、「EV と 水素自動車は並行して進める」というメッセージを出している限りは、経営陣はまだ本気ではないと解釈して間違いないと思います。
痛みを伴う改革は、実際のところは「できるかどうか」ではなく「やるかどうか」なので、それは全て経営者たちの覚悟次第だと思います。
ちなみに、どんな大企業でもそうですが、トップが危機感を持っているにも関わらず、実際に働いている人たちは、日々の仕事に忙殺されて、大きな変化に目を向けている余裕もなく、結局対応が遅れてしまうということがしばしばあり(私が Microsoft にいた時にも体験しました)、それが改革の足を引っ張ります。
既存のビジネスを壊さず、かつ、同時に新しい変化に対応するということが非常に難しいことは、歴史が何度も証明しています。ここから数年の自動車業界からは目が離せません。
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