トヨタに未来はあるのか? EV車への完全シフトに出遅れたウラ事情

 

トヨタ自動車にとって、もう一つの大きな悩みは、莫大な開発費を投じてきた水素自動車です。「EV に本気で取り組む」とは、すなわち「水素自動車を捨てる」ことです。現在のように、「EV と 水素自動車は並行して進める」というメッセージを出している限りは、経営陣はまだ本気ではないと解釈して間違いないと思います。

痛みを伴う改革は、実際のところは「できるかどうか」ではなく「やるかどうか」なので、それは全て経営者たちの覚悟次第だと思います。

ちなみに、どんな大企業でもそうですが、トップが危機感を持っているにも関わらず、実際に働いている人たちは、日々の仕事に忙殺されて、大きな変化に目を向けている余裕もなく、結局対応が遅れてしまうということがしばしばあり(私が Microsoft にいた時にも体験しました)、それが改革の足を引っ張ります。

既存のビジネスを壊さず、かつ、同時に新しい変化に対応するということが非常に難しいことは、歴史が何度も証明しています。ここから数年の自動車業界からは目が離せません。

image by: Thampapon / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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