中国式スパルタ教育に非難殺到。米国で過熱する「英才教育」反対論

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日本の「受験ありき」の詰め込み教育については、国内でも賛否が分かれるなど度々話題になりますが、世界では子供の教育についてどのような動きがあるのでしょうか? メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』の著者で米在住・東大卒の作家である冷泉彰彦さんは、日本と中国の例を出して、子どもを一流大学に入れることに命を賭ける教育ママに苦言を呈しています。

東大理三ママとタイガーママ

お子さん4人を東京大学の理科三類に合格させたという母親が、インタビューに応じて次のような「教育方針」を語っていました。

  • 遊びは非日常化して、勉強を日常化する。
  • 孤立感を感じさせない。
  • 楽しく勉強に導入できるようにする。
  • テストなどで成功体験を持たせる。
  • 間違えた点は徹底的に理解させる。
  • 学習法を効率化する。
  • 恋愛は禁止。
  • ストレスはスポーツで発散させる。

典型的な「入試合格が手段ではなく目的」という悪しき教育方針ですが、この中では特に最初の「遊びは非日常にして勉強を日常化」というのが、かなり気に入りません。前思春期が特にそうですが、子供同士の遊びというのが徹底的に日常となる中で、自発的なモチベーションや、提案と受諾などのコミュニケーション、つまり人間としてのコミュニケーション・スキルの原型が培われるわけですが、その点を軽視し過ぎということがあります。

それから、思春期以降もそうですが、勉強というのは非日常の高揚感と共に進めていって欲しいものです。天体の回転にしても、代数学から無限という概念を経て微積分へ向かう旅路にしても、啄木や牧水の五七五七七にしても、日常とは全く違う世界との接触として学んで欲しいのです。このお母さんは、その意味で、乳幼児をしつけるメソッドで中等教育までは乗り切れると信じていたようで、実際にそれで成功してしまったわけですから、日本の中等教育も大学入試も本当に「甘い」と言わざるを得ません。

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