なぜドラッグストアの食品は安いのか? コスモス薬品の型破り戦略

 

また、「日常の買い物の場」になることが、小商圏でも勝てるポイントになっています。食品スーパーの市場規模は約13兆円と非常に大規模であり、イオンやセブン&アイといった大手はいるものの、これだけ大きな市場を大手だけでカバーしきれませんので、まだまだ、中小地場スーパーも多数存在します。大手と中小の棲み分けができているとも言えますね。大きな商圏には、大手が大きな店舗を出し、小さな商圏には、中小地場スーパーが小さな店舗を出すという形です。これは、一般的というか業界の常識といえると思います。

この状況の中で、中小地場スーパーが出店しているような小さな商圏にコスモス薬品は大型店で出店攻勢をかけているわけです。まさに、常識外れな行動と言えますね。

もちろん、ただ常識外れなわけではなく、しっかりと計算された勝算のある常識外れな行動であると言えるでしょう。この行動により、元々は、食品スーパーが「日常の買い物の場」としての役割を果たしていたわけですが、コスモス薬品が、「安さ」「品揃え」を強みに「日常の買い物の場」としての役割を担うようになりました。

「日常の買い物の場」であるということは、顧客の来店頻度が高まりますので、小商圏であっても売上を確保できるわけです。逆にいうと「日常の買い物の場」になれなければ小商圏では生き残るのは難しいということですね。

コスモス薬品は、生鮮食品を扱っていないので、中小地場スーパーの存在価値がなくなるということはないと思いますが、同商圏内に「ディスカウント ドラッグコスモス」が出店するとなれば、中小地場スーパーにとっては、売上確保が困難になることは避けられないでしょう。

西日本で「日常の買い物の場」としての存在感を高めているコスモス薬品は、今後、東日本にも進出する予定のようです。どこまで快進撃が続くのか、非常に楽しみです。

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