以前私がニューヨーク州で自動車運転免許証を取得するために、交通法規の理解度を確かめる公の試験を受けたことがありました。そのとき日本人向けに日本語の試験問題も用意されていたことが印象に残っています。
もちろん、ニューヨークで日本語が公用語だと言い切ることは、拡大解釈しすぎているかもしれません。
しかし、この事例は現実の利便性に即して、様々な言語が公に使用されていることを知る上では参考になるはずです。
こうした言語に対する柔軟な運用をベースにおきながら、アメリカでは国家の伝統や文化を象徴する言語としては独立以来使用されてきた英語が珍重されているというわけです。
一方、多数の民族が同居するインドでは、それぞれの地域を代表する言語と並行して、すべての国民が共通して使用できる英語が公用語として採用されています。
アメリカやイギリスに公用語としての英語の規定がない反面、インドのように、国家を統一してゆくという現実のニーズから英語を公用語としているケースをアジアやアフリカの多くの国々でみることができるのです。
公用語としての言語は、国家や地域に暮らす人々、そこを訪れる人々がいかに支障なく生活できるかということを意識して選択されるべきなのです。実際に2ヶ国語以上の言語を公用語としている国や地域は数え切れないほど存在するのです。