世界は、核兵器の「個人所有」をこの男に許していいのだろうか?

 

戦争とは相手の攻撃力を無力化するための行動です。ピストルも戦闘機も、基本的には敵対する国の軍事システムを破壊するために行動します。敵軍の兵士を殺すのも、兵士が攻撃力だからです。

一般的なミサイルは敵機、敵艦、敵基地を攻撃し、爆撃機にしても、空から地上部隊や基地を破壊するためにあります。

というのも、近現代において軍とは自国民を守るために存在するという建前になっており、敵国とは言え民間人を殺すことは、戦争の大義を失わせ、ただの殺戮になるからです。

東京大空襲にしても米国は「下町にあつまる中小企業が軍需産業の拠点になっている=軍関係施設」と無茶苦茶な理屈を立てています。

実際にはユタ州ソルトレークシティー南西の砂漠に、日本風の木造家屋を立てて「燃焼実験」を繰り返し、もっとも効果的に焼き尽くすという、つまりは焼き殺すための空爆で、人類史に刻まれる非人道的大虐殺だったのですが、先のような理屈を立てたのは、世界的批判が高まる、というのもありますが、なにより米国は「民主主義」を採用しているからです。

反撃手段をもたない民間人を、子供や年寄りばかりの住宅街を、爆弾落として焼き殺す我が米軍。米軍に従軍するのもアメリカ人。我が子、亭主、友人が、敵国とはいえ抵抗できない民間人を、ただひたすらに殺している。これを良しとしないアメリカ人が多数派で、その最高指揮官の米国大統領。次の選挙を待たずにリコールされることでしょう。

だから、某かの「理由」が必要だったのです。腹立たしい限りですが、人類の可能性のひとつでもあります。殺戮を好ましいと思わない人が多数であることです。

広島と長崎への原爆投下の理由を米国は「早く戦争を終わらせるためだった」とし、それぞれ戦艦大和、武藏を作った造船所などの軍事施設があったからと説明します。

さすがのお花畑な思考回路を持つ左派でもいま、これを信じる人はいないでしょう。原爆投下のはるか前から日本は連合国と降伏に向けた交渉に入っていたことが明らかになっているからです。

敗戦後の日本の領土を狙っていたソ連への威嚇説も、一定の説得力を持ちますが、想像を絶する新兵器の保有は、ソ連だけを威嚇するものではなく、戦後社会においてイニシアティブを握れます。米国の戦後の利益のために、非人道的な新型爆弾の威力を確かめる実験を行ったのです。

だから、わざわざ「大空襲をしていない都市」を選んで投下しました。より正確な被害を確認するために。そして、日本が降伏してすぐに広島に乗り込み実験結果の確認を始めます。ときおり原爆直後の広島の映像が紹介されるのは、GHQを名乗った米軍が実験結果を納めた資料映像です。

アメリカ人のなかにも良心や常識をもつ者はいて、とりわけ軍関係者には都市部への原爆投下に異議を唱え、威嚇のためなら無人島に投下し、その情報を配信するだけで充分とするものや、トラック島に集結していた日本軍の艦隊に落とすといった主張もあるにはありました。しかし、結果はご存知の通り。

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