核兵器が戦争を変えた。というのは、その威力のすさまじさから、人類滅亡の恐れがあるということではなく、「相手の戦力を無力化する」という戦争の建前の死文化です。
殺戮のための殺戮。それが「核兵器」だということです。
これを北朝鮮はほぼ手中に納めました。ここに人類の希望はありません。つまり「民意」に含まれる善意の介入がないのです。
ネットではその髪型から「黒電話」と呼ばれる金正恩委員長が、撃ちたいと思えば撃て、発射したいと思えば発射できます。
核保有国の多くは民主主義を採用しており、指揮官の野望は抑制されます。一党独裁の中国であっても、党内の権力争いから、それなりのブレーキがかかるでしょうし、ロシアのプーチン大統領は事実上の皇帝とはいえ、計算高い彼が、核兵器を使用の是非を検討するまで追い詰められることはないでしょう。
トランプ大統領はCNNをやっつける感覚で核のボタンを押しそうな雰囲気はありますが、そもそも彼は狂人ではなく、かなり成功したビジネスマンでありポピュリスト。CNNが伝えない本当の民意次第のところはありますが、そこは先の希望にすがるところです。
他国においても同じく。そして北朝鮮を振り返れば、彼が核兵器を持った怖さがわかるというものです。
核開発は米国と会話するためのツールで、体制維持のために仕方がない。と多くのテレビコメンテーターはしたり顔でいいます。
「だから核兵器は使わない」
という文脈ですが、果たしてそうでしょうか。
北朝鮮の核兵器とは、こう言い換えることができます。
「人類史初の個人所有の核兵器」
パーソナルアトミックボム。だから金正恩委員長が「やけくそ」になったら撃てます。国家国民の後先は、彼の生死と一蓮托生。自殺するぐらいなら、撃ってやると考える可能性も否定できません。そこに民意は一切挟まれません。
さらに狙うのなら、日本が最有力です。目的はゆすりたかり。
米国本土に落とせば、全面報復により金王朝は跡形もなく抹消されるでしょうが、日本に落としたからと、米国が核で反撃する可能性は低いのは、そのとき北朝鮮の核ミサイルは米国も狙っているからです。
北朝鮮にはない民意を米国は持ちます。日本の核攻撃を見た米国国民は、自分たちが核攻撃されるかもしれないと、端的にいえばビビることでしょう。そして通常兵器による反撃には、日米同盟から協力しても、核による反撃はしない、と私は見ています。