中国共産党は、体制を正当化するために「外部の敵」を捏造している

 

習近平は、「安全国家」をつくる

先日、水野和夫先生のベストセラー『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』を読んでいました。

  • なぜ資本主義は終わるのか?
  • 資本主義が終わるとどうなるのか?
  • 日本はどうすればいいのか?

といった話をされています。この本の中に、「安全国家」という話が出てくるのです。「安全国家」いい響きですね~~。「安全な国なのかな?」と。しかし、水野先生は、「ネガティブな意味」でこの用語を使っておられます。

「安全国家」とは何でしょうか。そこには国家と恐怖の驚くべき逆転があります。
(『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』)

トマス・ホッブズ(1588~1679年)の「リヴァイアサン」では、万人の万人に対する闘争がもたらす恐怖を終わらせるために国家が登場しました。
(同上)

人間は、無法状態で自然にさせておいたら、ケンカをするようになる。その「恐怖を終わらせるために国家が登場したと。

ところが「安全国家」ではその図式が逆転し、恐怖を維持することが目的化します。なぜなら、「国家は恐怖からその本質的機能と正統性を引き出しているから」です。
(同上)

そうか、「国家は恐怖から正統性を引き出せる」のですね。水野先生は、最近の日本やフランスの例をあげて、「安全国家に向かっている」という話をされています。

しかし、読みながら、習近平さんの笑顔が私の脳に浮かびました。毛沢東は、「建国」で「正統性」を得た。トウ小平、江沢民、胡錦涛は、「世界一の経済成長」という「正統性」を得た。しかし、「世界一の経済成長」が不可能になった今、習近平は、「安全国家をつくることで、「正統性を維持しようとするのでしょう。そのとき「ダシ」に使われるのは、アメリカであり、日本であることでしょう。

そう、習近平の正統性は、「安全国家」です。「安全国家維持に必要なのは、「恐怖」です。「恐怖」を維持するためには、「が必要。中国の「敵」は、「中国の体制崩壊を狙うアメリカ」「再び軍国主義に向かう日本」などでしょう(中国から見たらです。念のため)。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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