日本ではほとんど語られない、歯周病とがんの恐ろしい関係

 

歯周病とがんの関係

ということで、皆さんも「私も歯周病かも」と是非関心を持っていただけたらこの記事も意味のあるものになります。特に今回の研究は女性の歯周病とがんの関連にフォーカスしています。NYのUniversity of Buffalo(バッファロー大学)の公衆衛生学科のWactawski-Wende率いるグループの報告によると、口腔衛生の問題がない女性に比べて、歯周病がある女性はがんを発症するリスクが14%高いのだそう。米国がん学会が発行する国際誌に今月発表されました。その内容を、もう少し見てみましょう。

1999~2003年に54~86歳の中高齢の女性65,869人を対象に調べ、その後2013年まで追跡調査をして7,149人ががんと特定されました。最もリスクが高かったのは食道がんで、歯周病の女性はそうでない女性と比べて3倍のリスクがありました。また、肺腫瘍では31%胆嚢がんでは73%乳房腫瘍では73%悪性黒色腫(メラノーマ)では23%、歯周病の女性はそうでない女性に比較してリスクが高いという結果がでました。

また、喫煙が歯周病とがんの関連リスクに拍車をかける可能性も示唆されました。喫煙者や元喫煙者で歯周病の場合、乳がん肺がん胆嚢がんのリスクがさらに高まっていたのです。

ただし、この研究はあくまでも疫学的調査なので、歯周病が直接がんを引き起こしているのかどうかは定かではありません。それゆえ、もちろん歯周病ががんを誘発するメカニズムについて明らかにしたものでもありません。しかし、歯周病の女性がそうでない女性と比較して明らかにがんのリスクが高いという関連を示したことで、重要な問題提起にはなっています。なぜならば、歯周病は気づかずしてほとんどの人がかかっているからです。気づかずしてがんのリスクを高めてしまっている歯周病ですが、逆に日々のケアが可能なのも事実です。日々の簡単なケアでがんリスクを下げることができるとしたら、非常に有用な知見となるはずです。加えて、歯周病がなぜがんのリスクを高めるのかの医学的研究の必要性も提起していると言えます。

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