主任員であるWactawski-Wende氏は、歯周病とがんの関連を示す正確な原因は不明だけれども、口腔から別の身体部位に細菌が移動している可能性があると述べました。同氏は、口腔内の細菌が歯茎の結合組織を破壊し、歯周ポケットで感染が持続、そして最終的に唾液と共に胃に移行したり、炎症を起こしている歯茎から血中に入ったりする可能性があると考察しています。その結果、細菌が特定の組織に定着して炎症を起こし、がんにつながるのではと示唆しています。ちなみに、論文では腸内細菌との関連は考察されていませんが、口腔内の細菌が腸内細菌叢に影響を及ぼし、免疫機能を低下させるなどの可能性も無視できないと僕は思います。
いずれにしても、この研究は口腔衛生とがん予防を関連付ける論理的根拠となったことは間違いありません。
【参考文献】
Nwizu NN, Marshall JR, Moysich K, Genco RJ, Hovey KM, Mai X, LaMonte MJ, Freudenheim JL,Wactawski-Wende J. Periodontal Disease and Incident Cancer Risk among Postmenopausal Women: Results from the Women’s Health Initiative Observational Cohort. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2017 Aug;26(8):1255-1265.
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