3年前から介護施設で暮らす“90歳の友人”は、以下のように言っていました。
夫のような車いすの入所者は毎朝、6時過ぎになると食堂に連れて行かれます。70名近い入所者の配膳、投薬などをわずか3〜4名のヘルパーが行うのですがヘルパーの中の2名は夜勤を終えた者なので、気の毒で見ていられません。
結局、車いすで部屋へ連れ戻される時は、9時近くになっています。つまり夫は、窮屈な車いすに3時間近くも座らせられているのです。
特に週2回の入浴日は朝食後、入浴時間まで食堂に置かれ、終わるとまた食堂に連れて来られてそのまま昼食になるので、部屋に戻ってくる時には6時間も経っているのです。夫と同じような入所者は意志表現ができないので、じっと我慢しているのです。
経営側に実情を話し、「改善してほしい」という要望を出しました。でもその答えは、「日本の現状は今後もっと悪くなる」という、前途が真っ暗になるようなものでした。
お盆明け。みなさんのお父さん、お母さんはお元気ですか?
親の“変化”は突然です。
私たち1人当たり1年に3万円税金を負担すれば、介護職の方の賃金を一般並みに増やすことができるという試算もある。
介護の問題、福祉の問題、税金どうする? の問題……。もっともっと議論しなくちゃじゃないのでしょうか。
《このメルマガの連載が本になりました》
日経プレミアシリーズ『他人をバカにしたがる男たち』河合薫・著(日本経済新聞出版社)850円+税
河合薫さんの最新刊『他人をバカにすることで生きる男たち』が、日本経済新聞出版社より発売されました。本書は、メルマガ「デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』」の人気連載【他人をバカにすることで生きる男たち】を大幅に加筆・修正したもの。連載時代のオリジナル原稿は、メルマガのバックナンバーをご購入いただくと読むことができます。この機会にぜひご登録ください。
(河合薫さんからのメッセージ)『世の男性をいっせいに敵に回しそうなタイトルになっておりますが、内容は「オジさんとオバさんへの応援歌」です。これまでずっと書きたかった自分の専門分野を軸に、職場にはびこる「ジジイの壁」をあばき、知に基づく真の共感を得るべく言葉を綴りました』
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