亡くなった受給者の年金は誰が貰う?「未支給年金」の受け取り方

 

じゃあ次は8月15日の年金支払い日前に死亡された場合はどうでしょうか。例えば8月6日に亡くなられたら、まだ6月、7月分の年金が支払われていないため、死亡月である8月分の未支給年金と合わせると請求により支払われる未支給年金は3ヶ月分になるので、141,177円×3ヶ月=423,531円となります。

なお、年金振込日である8月15日に年金が支払われた場合は6月、7月分の年金は未支給年金にはならず、通常の年金として支払われたものとなる。だから、6月、7月分の年金は未支給年金請求の対象にはならず、請求は8月分の1ヶ月分のみ。

あと、ココが大事な所なんですが、例えば9月25日に亡くなられたとします。この場合は8月分と9月分の10月15日に支払われるはずだった計282,354円が未支給年金になりますよね。まあ、ここまではいいんですが、死亡した年金受給者の銀行口座が凍結等せずに、時々そのまま通常通り10月15日に振り込まれたりするんですね(先程の8月6日死亡の場合は8月15日に振り込まれなかった前提で書きましたが…)。

もう正常に年金受給者の振込口座に年金が入ったからそれで未支給年金請求しなくていいのでは? って思いますよね。でも請求しないのであれば貰う事は出来ません。年金受給者の死亡した後の年金は全て未支給年金になるので、遺族が請求しないのであればこの正常に振り込まれてしまった282,354円は年金機構に返金してもらわなければいけません。

普通は年金受給者が死亡した場合は年金事務所や年金ダイヤル、市役所等に死亡連絡をすると、年金が振り込まれないように一旦年金支払いを保留する(死亡保留という)という処理をします。なぜ一旦年金の支払いを止めなければならないかというと、死亡者の口座に年金がそのまま振り込まれてしまうと年金の払い過ぎが発生したり、また、死亡者の預金口座からお金を引き出す場合はそう簡単に引き出せなくなるから。

でも死亡の連絡が年金振込月の前月の20日(大体この日前後が年金振込を確定させる年金の締め日)を超えると、年金振込が確定されてしまうのでこの例の9月25日死亡の場合は振込口座を凍結してもらうとか口座解約等がなければそのまま年金が入金されてしまう。

通常通り入金されてしまったとします。でもこの入金された282,354円は遺族が請求しないなら貰う事はできないお金なので、未支給年金請求を子である妹がやったとします。大体、未支給年金の支払いは請求後3~4ヶ月かかりますが、この場合に振り込まれる未支給年金はありません。

なぜかというと、既に入金されちゃってますよね。だから、年金受給者が死亡すると必ず未支給年金は発生はしますが、死亡した受給者の口座に既に入金されていた場合は未支給年金の振込が無い場合もあります。でも請求しないと受け取ってはダメなんですね~(^^;;。

ちなみに、請求せずに5年の時効を過ぎると282,354円は年金機構に返さなければいけなくなる

※追記

年金受給者が年の途中で死亡した場合は相続人が相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告が必要になります(ただし、公的年金に係る収入が400万円以下、かつ他の所得が20万円以下だったなら準確定申告する必要は無い)。

この時は準確定申告用の源泉徴収票が必要になりますが、死亡届を出した遺族に自動的に送られてきます(死亡届は未支給年金請求書とセットになっている)。ただし、死亡届を出した遺族が配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹以外だったら年金事務所に準確の源泉徴収票を申請する必要があります。

なお、年金受給者が亡くなったのが12月16日から翌年の2月14日の間の場合は準確定申告用の源泉徴収票は送られてきません。通常の翌年1月末に送られてくる通常の源泉徴収票を用います

あと、住民税はその年の1月1日に居住している場合にその市区町村から課税されますが、前年に亡くなった場合は住民税はかからない。だから今年中に亡くなったら、相続人が翌年支払う住民税は無い。

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