6月13日に開かれた国家戦略特区諮問会議の有識者による記者会見で、八田氏は内閣府や官邸の隠蔽体質に関する質問に対して、こう述べた。
「こまかいところで批判することは結局、既得権を持っている人たちを利することになる。(提案を)全部を認めていく方向の議論をしていきたい」
獣医学部新設に関するいわゆる“石破四条件”を満たしているか、という質問に対しても、八田氏は「既得権を守りたい人が文科省のうしろにいて、どんどん制限していく。(石破)四条件もそうだ」と語った。
つまり八田氏は、加計学園の獣医学部が真に国際レベルになるのか、他の大学では真似のできないものなのかについては、大した問題と捉えていないようなのである。
玉石混交になるのは百も承知、とにかく規制を取っ払おう、ダメなものは淘汰され、良いところが生き残る。そんな考え方なのだろう。しかし、多額の血税を助成金として注ぎ込まねばならない大学の学部新設にも、そんな大ざっぱな理論が通用するのだろうか。
竹中平蔵氏や八田達夫氏の発言を聞いていると、彼らが安倍首相を取り巻いて、規制撤廃のためなら私的な権力乱用さえも許されるような空気をつくりあげているような気さえしてくる。
加計学園問題の本質は、規制改革の是非ではない。総理大臣が親友の獣医学部新設計画を実現させるために、秘書官や補佐官を動かしたのかどうか、総理案件として官僚が忖度し、公平公正であるべき行政がゆがめられたのかどうか、という疑惑の解明だ。
それを「こまかいところで批判し既得権者を利する」(八田氏)と、無理やり別問題にすり替えて混同させようとする諮問会議有識者メンバーの発言は、意図的なプロパガンダと思われても仕方があるまい。
そういう疑念を払拭するためにも、問題の議事要旨で、なぜあのようなウソの記述をすることになったのか、八田座長自ら説明するべきだ。審議の経過が公明正大だというのなら、たとえ特例的であっても、議事録そのものを公表するのが、証明するのにいちばんの近道といえよう。