民進党の疑惑調査チームは「これは改ざんだ」と批判、正式な議事録の公開とともに、八田座長からの説明聴取を求めていた。
八田座長は出席を拒み、議事録と称するものを出して、議事改ざん問題の決着をはかろうとしているように見える。議事要旨と議事録を比べてみよう。
<議事要旨>
藤原次長 資料その他、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますでしょうか。
山下地域振興局長 はい。
<議事録>
藤原次長 資料その他、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますでしょうか。
山下地域振興局長 済みません。諸般の事情によりまして、非公開でお願いできたらと思っておるのです。理由は、対抗するというか、いろいろな意見を持った勢力もかなりあることと、行政の支援で、議会筋のようなところにまだ説明が至っていないので、その辺はちょっと非公開でお願いできたらという理由でございます。
八田座長 わかりました。ただし、提案なさっていること自体は議会の方も御存じですね。
山下地域振興局長 はい。
藤原次長 提案をしていただくこと自体は公開させていただきますけれども、提案内容、議事録は非公開という位置づけにさせていただきます。
この変更箇所以外は、すべて議事要旨と同じである。これでは、議事録と議事要旨の違いは、都合の悪いところを変えただけということになる。要旨とは、内容のあらましをまとめたものであるはずだ。相反する記述の議事録と議事要旨が内閣府のサイトに並んでいる。前代未聞ではないか。
なにより、出席した加計学園側の発言が相変わらずカットされているのは不可解だ。提案者ではなく「説明補助者」である加計学園側の発言は非公式なもので議事録には載せないという内閣府の説明は、内部的にそう決めているのかもしれないが、国民を納得させうるものではない。そもそも疑惑の払拭に逆行するではないか。
獣医学部の設計図面も同じだ。文科省は、BSL3施設が適切であるかどうかは大学設置認可の審査対象ではなく、厚労省の所管だと言う。それなら、厚労省はいつ調査するのかと民進党議員が追及しても、明確に答えない。
総理が主導する国家戦略特区がらみのこの案件に、厚労省が関与を避けていたことが思い出される。こんなことでよいのだろうか。
8月末までに出す予定だった答申をいったん保留にした大学設置・学校法人審議会は、ポーズに過ぎなかったと言われないよう、細部にわたって厳正に審査してもらいたい。
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