東日本大震災のときに中国が日本人に対してサイバー攻撃を仕掛けてきたこともありました。東洋経済オンラインに詳細が載っているので以下に一部を引用しましょう。
震災から3週間ほど経過した頃、警察や一部企業に一斉メールが届きました。そこには、「3月30日放射線量の状況」という名前の文書ファイルが添付されていました。当時、日本中が福島第一原発事故によって大混乱に陥っており、公的機関だけではなく民間企業でもさまざまな情報収集を行っていましたので、そのたぐいの重要情報かと思って、受け取った側は大きな疑念を抱かずに、そのファイルを開いてしまいます。もうお気づきでしょうが、これが「サイバー攻撃」だったのです。
ファイルを開くと、攻撃者のパソコンに接続され、「COMMAND:」という指示を求めるメッセージが表示されます。あとは、そこに簡単な文字を打ち込むだけで、文書ファイルを開いたパソコンを乗っ取ることができるというわけです。そうなれば、そのパソコンにある情報をごそっと盗み出すことができてしまいます。
文書ファイルは日本語で書かれていましたが、その中には日本国内でほとんど使われない中国語の漢字フォントが見つかりました。加えて、中国で偽造されたデジタル署名が見つかった点から、この攻撃はほぼ間違いなく中国からのものだと断定されています。
相手が弱っているときこそが攻撃の時というのは戦術の基本です。中国はこの基本にのっとって日本にサイバー攻撃をしかけてきました。ここでひとつ疑問が沸いてきます。東日本大震災の際に攻撃されたのは、政府機関ではなく民間企業ばかりです。もしかしたら個人にもこの怪しいメールは届いていたかもしれません。
民間企業や個人にサイバー攻撃を仕掛け、ハッキングをかけたところで国家機密は出てきません。上記の年金情報もそうです。しかし、中国はターゲットを国家機関に絞らず、やみくもに攻撃しているのです。ここにデジタル時代の落とし穴と、それを利用しつくそうとする中国の下心が見えてきます。